第17話
文字数 1,169文字
この一年以上ものあいだ、私の欲望は高まり、なにかと緊張を強いられた。その理由を知るのは簡単だ。まず罪の意識。ああ、私ってなんてだめなの、いっそ死んでしまいたい。それから、あなたを愛していても先が見えないからよ。私にとって重大な問題は、今まで以上にまったくの一人ぼっちなんだということだった。
だが、そうでもないという見方もできる。ふと、もう一人の私がーー先が見えないのは皆んな同じなのかもしれない。
世界がこの場所に凝縮されたみたいに見え、あざけ笑うような彼の声が響いた。それは僕だって同じさ。
同じじゃないわ、だってあなたには家族がいるもの。私が目を上げて彼を見つめると、いじわるそうに彼が椅子の上で身じろぎした。何が言いたいんだよ。
一つだけぜひ聞いておきたいの。こんなことをいうのは自分でも嫌だが少しあてつけぎみに、こう付け加えたの。あなたにとって私は遊びでしかない、違う?
その疑問をぶつけると、頼むから、つっかかるのやめてくれない?と言って、彼はタバコをもみ消した。視線を合わせようともしない。
でも、そうでないならなんなの?と言いながら私は考えてみた。
おそらく、彼は遊びで女性とベッドをともにするような人じゃないだろう、それに何人もの女性に同じことをしたとは思えない。
その時突然、チャイムの音が鳴り、目が覚める。部屋のなかに座り、知らないうちに小さなコーヒーテーブルの上で、両手に顔をうずめて寝ていた。ドアを開けにいくと、彼が部屋に入ってくるやコージーコーナーのケーキの箱を私に。
「はい、ケーキ」
私は唇にかすかな苦笑いを浮かべ、ケーキを冷蔵庫に入れた。彼はそのままのしかかるようにソファの背もたれに倒れこんだ。
私の中に燃えるように熱い感覚のうずきが沸き起こる。まもなく、もうどうしようもないくらい彼との時間を漂う甘いエクスタシーの境地に漂いだしていく。熱い思いをぶつけるように彼の腕に抱きとられ、私は彼の顔を両手で包み、軽く優しく何度も口づけした。
彼もキスを返して、私の目をじっと見つめながら、優しく頬をなでる。
もう一度確かめ合うようにキスを交わした。
彼は服を脱ぎ捨て、ジーパンから足を抜くと私を押し倒した。
むさぼるような激しい口づけは、私をつきあげるような欲望へと駆り立てた。
私は頭からセーターを脱ぎ、彼は瞳を燃え上がらせて私の体に体を重ね、ぬくもりを失った子犬のように甘えた声をもらした。私は体の芯がうずくようなほてりを感じて、彼の頭を引き寄せ、全身を燃えあがらせた。
あなたがいてくれたら、もう何もいらない。
まともじゃないのは自分でもわかっていた。
けど、たとえようもなく、あふれる思いでいっぱいになったの。
そうよ。明日どうなるかなんて明日になってみないとわからない。
恋におちた人は、みんなこんなふうに夢と現実を混同するのだろうか?
だが、そうでもないという見方もできる。ふと、もう一人の私がーー先が見えないのは皆んな同じなのかもしれない。
世界がこの場所に凝縮されたみたいに見え、あざけ笑うような彼の声が響いた。それは僕だって同じさ。
同じじゃないわ、だってあなたには家族がいるもの。私が目を上げて彼を見つめると、いじわるそうに彼が椅子の上で身じろぎした。何が言いたいんだよ。
一つだけぜひ聞いておきたいの。こんなことをいうのは自分でも嫌だが少しあてつけぎみに、こう付け加えたの。あなたにとって私は遊びでしかない、違う?
その疑問をぶつけると、頼むから、つっかかるのやめてくれない?と言って、彼はタバコをもみ消した。視線を合わせようともしない。
でも、そうでないならなんなの?と言いながら私は考えてみた。
おそらく、彼は遊びで女性とベッドをともにするような人じゃないだろう、それに何人もの女性に同じことをしたとは思えない。
その時突然、チャイムの音が鳴り、目が覚める。部屋のなかに座り、知らないうちに小さなコーヒーテーブルの上で、両手に顔をうずめて寝ていた。ドアを開けにいくと、彼が部屋に入ってくるやコージーコーナーのケーキの箱を私に。
「はい、ケーキ」
私は唇にかすかな苦笑いを浮かべ、ケーキを冷蔵庫に入れた。彼はそのままのしかかるようにソファの背もたれに倒れこんだ。
私の中に燃えるように熱い感覚のうずきが沸き起こる。まもなく、もうどうしようもないくらい彼との時間を漂う甘いエクスタシーの境地に漂いだしていく。熱い思いをぶつけるように彼の腕に抱きとられ、私は彼の顔を両手で包み、軽く優しく何度も口づけした。
彼もキスを返して、私の目をじっと見つめながら、優しく頬をなでる。
もう一度確かめ合うようにキスを交わした。
彼は服を脱ぎ捨て、ジーパンから足を抜くと私を押し倒した。
むさぼるような激しい口づけは、私をつきあげるような欲望へと駆り立てた。
私は頭からセーターを脱ぎ、彼は瞳を燃え上がらせて私の体に体を重ね、ぬくもりを失った子犬のように甘えた声をもらした。私は体の芯がうずくようなほてりを感じて、彼の頭を引き寄せ、全身を燃えあがらせた。
あなたがいてくれたら、もう何もいらない。
まともじゃないのは自分でもわかっていた。
けど、たとえようもなく、あふれる思いでいっぱいになったの。
そうよ。明日どうなるかなんて明日になってみないとわからない。
恋におちた人は、みんなこんなふうに夢と現実を混同するのだろうか?