第8話 レターパックライトがお勧め

文字数 1,912文字

 では、書き上げた原稿はどのようにして送るのがいいでしょうか。
 これは断然、『レターパックライトがお勧め』です。
 二十五年以上前、……昔すぎるだろ、「書き上げた原稿をどうやって出すか」は、ネット上で議題に上がっていました。
「速達で出す」、「出版社の隣の郵便局に出す」、「簡易書留で出す」、「直接持参する」等々、意見がありました。東京人ならいいけど、私はとても行けないよ、と思った記憶があります。
 二十五年前は、私は郵便局の窓口で「速達」として出しました。当時、簡易書留で出すくらいなら速達で出した方が速いし確実、という意見があり、私はその意見を採用し、「速達」で出していました。
 これが、すっごい恥ずかしい。私の近くの郵便局は小さく、私は人目の少ない通勤前に持って行ったのですが、窓口の人が、私が差し出した「○○文学賞応募作品在中」と赤字で書かれた郵便物を見て、「こんなに書いたの。すごい」と、大きな声で言うのです。
 郵便局にいた他の方にも注目され、顔から火が出るほど、顔から煙が出るくらい恥ずかしかったです。手続きが終わるまで、その恥ずかしさと戦っていました。恋をしていた時ですらあんなに顔が熱くなることはなかった……。
 もうそれ以来、郵便局に持参することがすごく憂鬱でした。
 締切日間近に投稿する時は、家の計量器であらかじめ重さをはかり、郵便切手を近くのコンビニで買い、家で貼ってから、本局(中央郵便局)まで行き、本局前にある郵便ポストに入れるのですが、その日は雨でした。
 原稿が濡れるのが嫌で、仕方なく、本局入口入ってすぐにある投函口に持って行くのですが、投函しようとすると親切な郵便局員の方が笑顔で取りに来てくれるんですよね。
 〈ああ、来ないで、目の前の投函口に入れさせて〉と思うのですが、満面の笑顔で手を差し出されると、むげにできず、しぶしぶ手渡し、逃げるように帰っていました。

「簡易書留」はネット上でもあまり評価されていない様子で、なぜかなと不思議でしたが、最近分かりました。
 資格の登録申請書類を出すのに、「簡易書留」という指定があったので、簡易書留で出したのですが、証明書が、簡易書留と表示された郵便物の表面(封筒の表)を小さくコピーしたものをくれただけでした。これでは、相手方に届かなかった場合、こちらは把握できません。
「届いていなかった」とずっと後になって知ったとしても、応募締切日を過ぎていたら泣き寝入りです。一年以上かけて書いた作品をさらに一年後に応募する羽目になります。 
 郵送代金プラスお詫び料?はいただけるかもしれませんが、それでも千円か二千円くらいでしょう。そんなはした金でこの苦悩が癒えるものか、と私なら思います。
 それに、簡易書留は文学賞側にとってもカウンターに出ていって受け取らなければならない等、ひと手間をかけてしまうと、聞きます。
 一人ならまだしも、文学賞で二〇〇〇人が応募するとなると、迷惑この上ない、ですよね。そう考えると「簡易書留」は、やめておいた方がいいです。お勧めしません。

 やっぱり、断然、『レターパックライト』がお勧めです。
 レターパックライトで原稿用紙換算五〇〇枚分の原稿を送ったことがありますので、大丈夫、入ります。私の記憶が正しいなら、原稿用紙換算六〇〇枚分の原稿もレターパックライトで送れました。
 レターパックは、徳島―東京なら二日で着きます。(注)今は、運転手問題で、もう少しかかるかもしれませんので、お調べ下さい。
 レターパックライト三七〇円を買い(コンビニでも郵便局でも売っています)、そこに原稿を入れ、追跡番号シールを剥がして手元に置いておき、ポストに投函するだけです。
 この「追跡番号シール」で郵便物が今どこに届いたか、知ることができるのです。大体、最終地は「出版社の私書箱」です。
 原稿を出し終わり、家でコーヒーとおやつを食べながら、携帯一つで追跡できます。そして数日中には届くのです。
 郵便局の窓口で人目をはばかりながら出す必要も、着いたか着かなかったと悶々とする必要もない、私書箱に投函なら他の方たちの応募原稿等も一緒のはずなので、出版社側の手を煩わせることもないでしょう。たった三七〇円で全てが解決するのです。……レターパックの販売員ではありません、念のため。
 (注)今秋から郵便料金は値上がりするそうです、日本郵便のホームページで確認してください。

 私はよく、出力した文学賞の応募要項に、投稿した日を書き、その追跡番号シールを貼り、原稿と一緒にケースに保管していました。原稿が応募先に到着したら、その到着日時も応募要項に書き加えていました。

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