第14話 面白い作品って、なに(余談)

文字数 2,583文字

 繰り返しになりますが、
 出版社サイドは、
 『テーマなんてどうでもいいから、とにかく面白い物語(売れる作品)がほしい』んです。
 ……そりゃ、そうだ。
 思い返せば、テーマについて書かれた直球の作品は受賞作品には少ないかもしれません。
 いじめがテーマであっても、復讐ものだったり、サスペンスものだったり、ミステリーだったり……、何かしら物語として手を加えられている気がします。
 テーマについて真面目に語る作品は重すぎて好まれないのかもしれませんね。面白みがないというか……。
 では、『面白い作品って何』でしょう。
 設定が面白いだけの話なら、ドラマ、映画、漫画……でもいいわけです。これらは映像(画像)で楽しめるのですんなり頭に入ってきます。激しい戦闘シーン(例.ドラ〇〇ボー〇、○○の刃)も壮大なファンタジーの世界(例.〇霊の〇り人)も鮮明な映像と美しい音楽で演出できます。スピード感、魔法の威力、登場人物の心情やオーラなども映像の力と効果音で、あますことなく表現されています。
 漫画は多種多様な設定があり、キャラも立っていますし、画力で伝えます。設定の多種多様さにおいては漫画は断トツで、異世界ものについては出尽くした感があります(個人的な見解です)。
 小説を読んでいて、これぐらいの設定なら漫画にもあるなあ、と思うことがあります。小説の長所である細かな心理描写も、漫画でも読んだなあと思うことがあります。
 児童文学等で、迫力をつけようとしてか、叫び声や強調したい言葉を太字にしている作品がありますが、私は太字の箇所が気になって数十行を速読してしまいます。……あかんやん。
 速読って読んでいるつもりでも、作者が伝えたいことは何も伝わっていない気がします……。

「文学作品の良さは文の流れの美しさを楽しめる」みたいな記載を読みましたが、文学好きな人にしか分からない感覚です。
 確かに、文章が流麗でついつい読んでしまう作品もありますが、一旦中断すると、私は続きを読もうとその本を手に取るまで数日かかります。
 読んでいる時はすらすらついつい読んでしまうけれど、文体、日本語の美しさ自体にそれほど興味がない私には、読んでもいいし、読まなくてもいいものなのです。 ……かくいう私も流麗な文章を書きたくて、そういう作家さんの文体を模写していました。
 たまに文章の美麗さや語句の難解さを披露したいのか、意味があるようでないような文章をつらつらと書き綴っている大御所の作品があります。これは誰が買うんだろう、この人のファン専用の本かな、と思った記憶があります。……失言ばかりで、すみません。
 娯楽が限られていた昔ならば、こういった小難しい言葉を並べただけの文学作品も、作家が道を歩いて感じた心情を書き綴っただけの文学作品も読んでもらえたでしょうが、今は娯楽に溢れていますし、みんなタイパ、コスパとせっかちになっています。
 私はテレビは録画し、CMを飛ばして〇倍速視聴しています。早い安い旨いじゃなくて、速い安い面白い、てなかんじで。……すみません、ふざけすぎました。
 文章がきれいなだけの小説、設定が面白いだけの小説は流し読みされるか、もしくは図書館で借りるか、立ち読みですませ買ってもらえないかもしれません。……失言が止まらず、すみません。が、続きます。
 芥川賞受賞作品で、情景描写が美しいと審査員が好意的に講評していました。川と光の描写がどうこう、魚の鱗に光が当たったどうこう、みたいな感じだったかな。
 私も描写が美しいと思いましたが、長いとも思いました……。釣りには興味ないんだよね。……ああ失言が止まらない……。
 (お断り)愛読している方から反感買うと嫌なのでタイトルは基本、表記しません。でも、あらすじだけで分かっちゃうかもしれないですね……。謝っておきます、ごめんなさい。
 フォローすると、
 文学作品は、〈文章が流麗(冗長)で、盛り上がりが少ない代わりに情景描写や心理描写が緻密で、ラストはオチがなくても大丈夫〉なイメージがあります。
 書き手としての私は、オチが必ずしも必要ない文学作品は魅力です。逃げ道があるというか。(注)あくまで個人的なイメージです。

 じゃあ、お前は売れる本(面白い本)が分かるのかと、聞かれても、私にも分かりません。分からないから私は、せめて自分が面白い(楽しい)、書きたいと思う作品を書いています。

 ここでちょこっと、本筋外れて、
 今まで書いた作品をエンタメっぽくしたら、こうなる、いきます。
 芥川賞作品ですると確実に石が飛んできそうなので自分の作品でします。
 物語、物語と言われると(実際は言われていない)、〈じゃあ、こういうの書けばいいんだろ〉と、自棄気味で思いつくまま書いてみます。
 (注)オリジナルのイメージを崩したくない方は読まないで下さい。

 まず、
 『ねこはみている』
 ルイがセンターに送られ、殺処分前日ーー。
 猫たちを引き連れたジンがセンターの人間たちを襲う。ルイも収容されている犬や猫たちに呼びかけ、人間に噛みつき応戦。
 全員無事に脱走し、山で暮らす。 (了)

 『繭』
 脳死判定中、聡史が目を開ける。医師たちがどよめくなか、聡史は恵美(母)と隆史(父)に抱き締められ、判定は中止。
 聡史は順調に回復し、意識がなかった時のことをぽつり、ぽつりと語り出す。
「反応できなかったけれど、生きていたんだ」、 と。(了)

 『祈り』
 キリヤはさよへの想いを日ごとに強くし、同じ想いを返してくれるさよに、今までの傷が癒えていくのを感じた。
 卒業後は結婚しようと誓い、二人手を繋ぎ、夕日を眺める。 (了)

 『ボーダーレス 明日のぼくら』
 シミュレーションにテロリストが混じっていた。ミヤマエたちはアメリカ軍とともに応戦し、テロリストを倒したが、仲間の何人かを失う。
 傷心のミヤマエたちは、自衛隊には入らず、訓練所を去る。 (了)

 『あしぶね』
 ユイが妊娠していると知ったチホは、アニキとともにアキラを力ずくでユイの元に連れて行く。土下座し謝るアキラを許すユイ。
 アキラはユイの両親に真実を話し、卒業後は結婚すると伝える。
 ユイの出産を皆で祝い、ユイは赤ん坊を抱き、幸せに包まれる。 (了)

 ……こんな感じかな。 ああっ、石、投げないで。

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