第13話 チャレンジな作品、分が悪い作品、評価が分かれる作品

文字数 5,731文字

 私が、これはある意味チャレンジかもしれないと思う作品を述べます。
 (注)私が勝手に思っています。文学賞、読者層によってはセーフです、きっと。

 私が勝手に思う、ある意味チャレンジな作品
 ジャンルを飛び越えた作品(異なるジャンルをまたいだ作品):
 宮部み〇きさんがガマのお化けが人を食うSF時代劇を書き、「今までになかった新しいジャンル」と評され、映画化もされましたが、あれは、宮部さんが有名作家で、なおかつ、説明や描写がしっかりなされているから(ここ重要)、と思われます。私も購読しましたが、特に違和感はありませんでしたし、楽しく読めました。
 お兄さんや奥さん、娘さん等の人物描写が随分単純化されているなとは思いましたが……。
 しかし、例えば、「江戸時代に突然現代人がやってきた」という時代劇なのかSFなのか、よく分からない設定を、一般小説の時代劇対象応募作品で、無名の新人がすると、よほどの説得力と描写力がない限り、審査員である時代劇の重鎮たちを納得させるのは難しいのではないかと思われます。
 時代劇より歴史ものの方が時代背景や時代考証に忠実に書かなければならないと聞きます。その点、時代劇は比較的融通がきくそうですが、それでもある程度は時代考証や時代背景を考えて書く必要があります。
 (注)どれくらいまで時代背景や時代考証を逸脱していいかは、本格派か広義か、文学賞の傾向、読者層によって違うそうなので、過去作品等でお調べ下さい。 
 昔良くあった、人の生き血を啜った「妖刀〇〇」が所有者に憑りついて夜な夜な……など、時代劇にファンタジーが含まれている程度なら、文学賞によっては理解してくれると思います。(注)妖刀系はありがち設定なので止めておいた方がいいです。
 しかしこれが、時代劇とSFの融合作品で、「江戸時代に突然現代人がやってきた」という設定だとしたらどうでしょう。これは漫画ではあるある設定ですが。
 私でしたら、現代人がどうして江戸時代(過去)に現れたんだ。科学が発展した数百年後の未来人(ドラ〇もん?)ならタイムマシーンに乗ってきたと理解できるが……。現代はそこまで科学は発展していないぞ。 
 輪廻転生か? 現代人が死んで輪廻転生するなら未来にだろう。どうして過去に生まれ変われるんだ、それも大人のままって、赤子じゃないのか、服も着ているぞ、と思います。

 〈ジャンルが被っていても面白ければ読んでもらえるのではないか〉と思われるでしょうが、面白いかどうかは読んでみないと分からない、です。また、面白いと感じてもらえるかは、その文学賞の傾向、審査員、読者層にもよる、かもしれません。
 時代劇の読者層は中高年の男性が多く、二十代三十代の男性女性は少ない、とします。勝手な憶測です。実際は若い女性でも多少は読んでいる、……かなぁ。
 純粋な時代劇、または歴史ものを読みたいと思っている読者が、SF混じりのものを読むと混乱するかもしれません。最初から、SF混じりの時代劇として読めば受け入れてくれるかもしれませんが、突然SFになったらビックリします。
 そして事前にSFと時代劇の融合作品とうたわれても、それを「斬新だ」と思えるか、「めちゃくちゃだ」と捉えるかは人それぞれで、著名な作家が書いた作品なら「面白そう」と思われても、無名の新人が書いた作品だと、手に取ってもらえないかもしれません。
 設定はSFと時代劇の融合だが、時代背景や時代考証は正確に描き、時代劇しか読まないコアな読者をも納得させる、という高等技術を駆使できるなら話は別ですが……。プロなら出来るでしょうが……。
 小説指南をされているワ〇〇キさんは著書の中やネット上で、時代劇と、なかでも歴史ものについて、時代背景及び時代考証を徹底するよう解説しています。時代劇で架空の人物を出すにしてもよく考えて出せ、と。
 興味のある方は、『プロ作家養成塾 小説の書き方すべて教えます』著者:若桜木虔(わかさきけん)(ベスト新書)二〇〇二年
 を参考にして下さい。 

 私の経験で恐縮ですが、文学とSFの融合?作品を読んだことがあります。
 私には「芥川賞受賞作品は文学作品である」という先入観があり、そのつもりで読んでいました。
 (批判になるので)タイトルは伏せますが、一緒に生活するうちに主人公(妻)と夫の顔が似通ってきた、という内容です。
 私は結婚する前、「(将来の)夫と顔が似ているね」と何人かに言われました。ちょっと複雑ではありましたが、「飼い主と飼い猫(飼い犬)は似てくる」という話も聞きますし、実際そう思うこともあったので、その芥川賞作品を興味深く読み始めました。
 ところが、どんどん雲行きが怪しくなり、ラストは思いもよらない展開になり、それまでの内容が吹っ飛んで私の頭の中は「?」マークでいっぱいになりました。文学作品にメルヘンってアリなの? という感想しか残りませんでした。それでも受賞したのだから、審査員は好意的に捉えたのでしょうが……、私は納得できませんでした。
 あまりにも変わりすぎだろ、夫がおハナになるなんて。いい年したおじさんがお花って、あんた。 ……すいません、だいぶこだわります。
 この時思ったのは、「ジャンルを飛び越えた作品は、小説家志望者にはある意味、冒険かもしれない」、ということです。
 補足ですが、
 芥川賞候補にあがる新人作家は、既に受賞するなりして、本を出しています。芥川賞候補者は芸人、政治家、大学生……、様々な方がいます。
 私が言う新人は、文学賞受賞を目指す小説家志望者、もしくは受賞作品を出版する新人作家です。
 プロ作家と同じ書き方であっても、小説家志望者が書くと、「新しい時代の作品」として受け入れてくれるか、「こんなの売れないよ」とそっぽ向かれるか……、未知数です。
 (注)私はファンタジーを入れてアクションを書いていますが、SF(スーパーファンタジー)アクションまではいきません。

 私が思う、分が悪い作品
 人気がないジャンルの作品:
 本が売れなくなった、本を読む人が少なくなった昨今、人気がないジャンルは母数(読者数)が更に減り、読んでもらえる確率がぐんと下がる、ように思われます。
 海外ものは売れない、というのがあるそうです。
 想像しにくい、遠い国のこととして関心を持たれにくい。海外ものならせめて現代にする、日本人を一人登場させる、みたいな工夫を要求されます。漫画では、海外が舞台の作品は日本人が一人交ざっています。例.バナ〇フィ〇シ〇
 確かに、同じ国民(日本人)がいると感情移入が違うし、応援したくなると、私も思います、はい。 
 例えば、ある日本人女性が婚約者に振られ傷心旅行で滞在したハワイで運命の恋(相手も日本人)におちた。あるある設定ですね。
 恋愛小説家が書いた作品ですが、ハワイの描写は始めの二ページあるかないか。後はひたすら恋愛もの。
 海外ものは売れないハードルをクリアしようとしてハワイの描写を少なくしたのか、ちょっと目新しさを加えるためにハワイ(海外)にしただけなのかは分かりませんが、読む方にしたら、ハワイまで行く必要あった? ハワイのことはほとんど出てこないのに、どうして舞台をハワイにしたの?、と思います。
 せっかく海外を舞台にしたのだから、食事や町並み、習慣、文化等々、何か書いてよと、私なら思います。
 プロ作家が書いた作品なので売れるでしょうが、新人の作品だと買ってもらえないかもしれません。
 (注)新人やアマチュアの方を下に見ているのではありません。私もアマチュアです。
「本が売れない理由」、「本屋には行くけれど」で詳述しますが、同じ二千円で本を買おうと思ったら、実績があるプロの作品と認知度が低い新人の作品が並べてあったら、どちらを買うか、という話です。
 本は売れなくなっています。一冊でも多く買ってもらうために、帯に「○○文学賞受賞作品」や有名作家のコメントを載せ、書店員さんがオススメコメントをつけ平積みしたり、様々な工夫を凝らしています。これは新人の本でもプロ作家の本でも同じです。それほど本は売れなくなっています。

 SFも売れないジャンルの一つと思われています。
 読み手が想像しにくい、独特の世界観を描写するのに字数が割かれる、現実離れしすぎて感情移入しにくい等の理由でしょうか。
 最近、異世界ものが流行しているので、盛り返してきているかもしれませんが、一般小説のSF対象の文学賞で異世界ものはどういう立ち位置か、私は知りません。
 十年ほど前に書かれた記事の知識になりますが、一般小説のSF対象文学賞が減り、危機に陥っている、と読んだことがあります。

 アクション、これも売れないジャンルの一つと聞いたことがあります。いやあ、私、アクション書いているよ、どうするよ。
 銃社会でない日本ではドンパチは感情移入がしにくいのかもしれません。銃の型式を書かれても読者は想像できませんし、またスピードと迫力があるアクション(格闘技)の描写は難しく、読み手にも伝わりにくい。
 銃を持っているとなると、警察、自衛隊、やくざ、テロリスト……と決まってきます。こういった職種?に興味がなければ、読もうとは思いませんよね……。
 そのうえ、警察小説ならこの作家、やくざものならこの作家、というのがあります。両方を兼ね備えた大家もいます。
 ただでさえ少ない読者が、そのプロ作家たちに吸い寄せられたら、新人は太刀打ちできません。

 結論、海外もの、SF、アクションといったジャンルは、漫画やアニメ、映画……等、映像で見られる媒体の方が断然有利、に思います。
 それでも私は書いています。
 不利でも無理でも書きたいと思う方は、効率も計画も計算も度外視して、書けばいいと思います。芽が出ないかもしれませんし、いつか突き出るかもしれません。
 作家になった後、その作品が日の目を見るかもしれません。もしかしたら、ね。

 ギャグやユーモアもいまいち売れないジャンルだそうです。どうしてもお笑いは他のジャンルより評価が低くなるそうです。私は「お笑い」が好きです。
 しかし、買う側にすれば、やはり、一八〇〇円、二〇〇〇円を払って読むなら、深い話(真面目な話)がいいですよね……。

 まとめ
 本が売れなくなった現在、新人が書いた人気がないジャンルの作品は、ジャンル買い、作家買いの人にはなかなか手に取ってもらえない、という辛い境遇に置かれる気がします。
 文学賞側もそれを知ってか、アクションやギャグものが受賞することは滅多にない気がします。応募作品でも恋愛もの、ミステリー、時代劇……に比べると、少数派に当たると思われます。
 それでも書きたい方は、止めません。
 書きましょう。
 迷いながら悩みながら書くぐらいなら、一心不乱に書きましょう。
 私も書くまでは悩みますが、作品を書く時は迷いません。夢中で書きます。
 芽が出なくてもいい、作家になれなくてもいい。
 中途半端な作品を書くぐらいなら、突き抜けましょう!

 私が勝手に思う、評価の分かれる作品
 後味が悪い作品:
 「後味が悪い」と捉えるかどうかは、人それぞれですが……。
 現代人は疲れている、とよく言われます。私は疲れています。フルタイムの時は家事と仕事の両立で精一杯でしたし、その上、更年期症状で精神的に不安定になり、身体的にも不調が続き、夫婦関係や人間関係にもトラブルを抱えていました。人生、泥沼でした。
 そういう時に、暗い話は聞きたくないし、読みたくないし、見たくないです。
 芥川賞受賞作品でタイトルは伏せますが(悪口の時はタイトル伏せます、悪しからず)、痴呆が進んだおじいちゃんが四にたい、四にたい、というからその望みを叶えるため、孫が筋肉トレーニングをしている内容がありました。
 私はこれを読んで、いや、もう読み始めで心が拒否ってしまい、それでも読みましたが、
 〈おじいちゃんはまだボケていない、これくらい老化現象だよ。〇にたい、と言っているのは本心からじゃなく、寂しいとか構ってほしいとか思っているからだよ。口癖みたいなものよ〉、と思いました。
 最後は、主人公なりに新しい目標?を見つけ、おじいちゃんは〇されはしなかったのですが、私はこの作品を買ってまで読もうとは思わず、夫が買ってきた文〇春秋ですませました。
 介護に関する作品は多々あるそうで、作者としては奇をてらったのかもしれませんが、私は、こういうのはちょっと……現実離れしすぎて感情移入できませんでした。
 審査員も賛否両論でしたが、受賞したのだからある意味評価したのでしょうね、きっと。

 後味が悪い作品パート2.
 (悪口になるので)これもタイトルは伏せますが、作者が高名な方だったので読んでみました。
 登場人物というか、登場カップルが三組か四組いて、どうでもいいからもう忘れたわ……、その全員が不倫関係かセフレ関係といった性愛もの(不道徳もの)だったのですが、最後になると、死ぬわ冷めるわ別れるわで、全カップルが関係を解消するんです。
 作者が作品を書いているうちに道徳に目覚めたのか、編集者に難色を示されたのかは分かりませんが、登場人物全員が(ある意味)バッドエンドで終わる、作品でした。
 私はバッドエンドは好きじゃない、というか嫌いです。それも全員って、あり得ないだろ。どんな神様だ。現実世界でも悪がはびこり、悪が栄えるなんてあるあるじゃん。娯楽作品で悪は滅びる必要性ってある? それも全員バッドエンドって、あんまりだ。いいじゃん、不倫でもセフレでもそのまま突っ走れば。奥さんは了承していたんだし。
 どうしてもっていうなら仕方ない、一組、せめて二組までなら許せるけれど、全員って、あんた……。金返せ、と思いました。時間も返せ、と。 ← 止まらなくなるので止めます。
 全員が不倫、セフレカップル設定は、そもそも書かない方がいいみたいです。ワ○○キさん談。
 結論.
 現実社会に疲れている人に後味が悪い作品は受けない、です。少なくとも私は読みたくなかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み