第18話

文字数 714文字

 僕はお母さんに、残って予備校で勉強するから少し遅くなると連絡を入れた。嘘はつきたくなかったが緊急事態だから仕方ないと自身を納得させた。そして、お父さんには、ちょっと気になるから寄って帰るとラインを入れた。きっとお父さんなら察知してくれるだろう。

 加藤くん家の最寄駅は、ここから二つ離れた駅だと聞いている。家に行ったことはないが、駅から三分くらいのところにあり、隣がコンビニだと聞いたことがあった。とにかく行動しなくてはと思い、
(加藤くん、体調は大丈夫か?)と唐突なラインを入れ僕は電車にのった。ラインは既読にならなかったが、駅に着いてコンビニを探すと看板の明かりですぐに見つかった。隣の加藤くん家は……とコンビニの前を通り過ぎようとしたとき、コンビニの中に加藤くんの姿を見つけた。僕は迷わず店に入り声をかけた。
「加藤くん、何買うの?体調、大丈夫?」
 僕の顔を見てとても驚いた様子の加藤くんは、
「えっ、田崎くん、なんでこんなところにいるの?家、この辺だっけ?」
「あー、違うけど、ちょっとこの辺の友達の家に用事があって」
 加藤くんは手に何も持っていなくて、そのまま外に出ようと言った。
「さっきラインしたんだけど気づかなかった?」
「あー、ごめん、見てなかった」
「最近、なんか様子が変だったから気になって連絡したんだ。前に相談に乗って欲しいことがあるって言ってたじゃん。もしかしたら何か悩んでいるんじゃないかと思ってさ」
「まいったな。田崎くんにはバレてたか……実は俺、大学受験辞めようかと思ってさ」
「えーっ、なんで?どうしてそうなるんだよ。今まであんなに勉強、頑張ってきたのに……どうしたんだよ」
 僕たちは、コンビニのベンチに座った。
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