第11話
文字数 1,048文字
入院したハルトの体調は精神的なことが原因ということもあり、なかなか思うようには回復していないようだった。
ハルトのお母さんの提案もあり、ある土曜日の放課後、健太はサトルと二人でハルトのお見舞いに行った。そして、新生サッカー部が発足したこと、二年生の半分が辞めたことなど、できるだけハルトを元気づけるような情報だけを短い面会時間に話をした。
するとハルトは小さな声で目に涙をためながら僕たちに言った。
「僕はサッカーが大好きだ。入院して気づいたんだ……また、サッカーをやりたい。退院したら、またサッカーを一緒にやってくれる?」
「うん、もちろん。はやくハルトとサッカーがしたいよ。早く戻ってこいよ」
ハルトはベッドの上で涙をこらえて満面の笑みを浮かべていた。僕らのやりとりを聞いていたお母さんはうっすらと涙を浮かべていた。
そして僕たちはみんなで声を出して笑った。
その後、ハルトは順調に回復し、二週間後にはグラウンドでともに汗を流していた。
三人はサッカー漬けの生活を心から楽しんでいた。二年生になるとようやくチームの結果が出せるようになってきた。個人技は大事だが、やはり、勝利を手にするには全体の底上げが大切だった。僕らが二年生になった時には、脱、弱小チームで、市内ではそこそこ名の知れたチームが出来上がっていた。
その頃、僕にはちょっとした事件があった。バレー部の女子に告白されたのだ。
それまでサッカー漬けで女子と付き合ったことはなかった。僕の動揺する様子をみていたサトルとハルトは親身になって相談にのってくれた。二人の押しもあって付き合ってみることになった。そもそもサッカーが好きで毎日、練習していただけなのに
「一年生の頃からずっと見てました」
と言われてもぜんぜんピンとこなかった。サトルには、
「カッコつけんなって。俺たちなんか一緒に練習してんのに誰からも告られないんだからラッキーと思って付き合えばいいんだよ。なぁ、ハルト」
「そうだよ。今のおまえの気持ちはおいといて、彼女の気持ちとサッカー愛を大事にしろよ。それでじゅうぶんだろう」
「そうだな。小田さんだっけ?よく考えたらバレー部の部長だよ。俺にはもったいないよな」
下校途中で久しぶりにサッカー以外の話で笑い合った。
実は、小田さんのことは前から気になっていて、笑顔のかわいい子だなと思っていたことは二人には内緒にしておいた。
この先もサトルとハルトは大切な友達だ。これからの人生で、もう一人の友達も失いたくない。健太はそう思っていた。
ハルトのお母さんの提案もあり、ある土曜日の放課後、健太はサトルと二人でハルトのお見舞いに行った。そして、新生サッカー部が発足したこと、二年生の半分が辞めたことなど、できるだけハルトを元気づけるような情報だけを短い面会時間に話をした。
するとハルトは小さな声で目に涙をためながら僕たちに言った。
「僕はサッカーが大好きだ。入院して気づいたんだ……また、サッカーをやりたい。退院したら、またサッカーを一緒にやってくれる?」
「うん、もちろん。はやくハルトとサッカーがしたいよ。早く戻ってこいよ」
ハルトはベッドの上で涙をこらえて満面の笑みを浮かべていた。僕らのやりとりを聞いていたお母さんはうっすらと涙を浮かべていた。
そして僕たちはみんなで声を出して笑った。
その後、ハルトは順調に回復し、二週間後にはグラウンドでともに汗を流していた。
三人はサッカー漬けの生活を心から楽しんでいた。二年生になるとようやくチームの結果が出せるようになってきた。個人技は大事だが、やはり、勝利を手にするには全体の底上げが大切だった。僕らが二年生になった時には、脱、弱小チームで、市内ではそこそこ名の知れたチームが出来上がっていた。
その頃、僕にはちょっとした事件があった。バレー部の女子に告白されたのだ。
それまでサッカー漬けで女子と付き合ったことはなかった。僕の動揺する様子をみていたサトルとハルトは親身になって相談にのってくれた。二人の押しもあって付き合ってみることになった。そもそもサッカーが好きで毎日、練習していただけなのに
「一年生の頃からずっと見てました」
と言われてもぜんぜんピンとこなかった。サトルには、
「カッコつけんなって。俺たちなんか一緒に練習してんのに誰からも告られないんだからラッキーと思って付き合えばいいんだよ。なぁ、ハルト」
「そうだよ。今のおまえの気持ちはおいといて、彼女の気持ちとサッカー愛を大事にしろよ。それでじゅうぶんだろう」
「そうだな。小田さんだっけ?よく考えたらバレー部の部長だよ。俺にはもったいないよな」
下校途中で久しぶりにサッカー以外の話で笑い合った。
実は、小田さんのことは前から気になっていて、笑顔のかわいい子だなと思っていたことは二人には内緒にしておいた。
この先もサトルとハルトは大切な友達だ。これからの人生で、もう一人の友達も失いたくない。健太はそう思っていた。