第13話

文字数 729文字

 僕たちは皆、無事に卒業した。
 
 僕は教育の道へ進学した。サトルは家庭内の問題で弁護士を頼ることがあって、そのことがきっかけで弁護士を目指したいと進学校へ。ハルトは入院生活を経験したことを機に医療の道を目指したいと、やはり、県内の有名な進学校へ入学した。
 サッカー部は卒業するが、たまに集まってサッカーしようと部活のメンバーで約束した。
 学年では全員がそれぞれの夢に向かって進路を決めたようだ。

 僕の彼女は、将来は看護婦になりたいと医療の道を夢見て卒業していった。僕たちは、中学卒業と同時に、話し合って別れた。この先、いろんな人と出逢って、お互い成長しようと約束した。もし、将来、ひとりぼっちだったら思い出してみてね、と彼女なりの優しさを受け取って、僕たちお互いの夢に向かって歩き出した。

 十五歳、出会いと別れ。
 
 人生において誰もが当たり前に経験することを、この年齢に自然な流れとして歩んでいることーー今までの僕は何の努力もしていないけれど、こうして着実に大人への一歩を踏み出していることを両親に感謝した。

 これから先、僕は特殊能力を揺るぎない武器にできるよう精進し、お父さんのような人間にならなければいけない。

 お父さんに将来のことを相談したとき、
「健太が考え、出した答えなら応援するさ。健太ならきっといい教師になれる。人の心の弱さを理解できる、寄り添えるような人になれるように、これからの出逢いを大切にな。焦らなくていい。少しずつでいいから成長を実感できるように頑張れ。いいか。あくまでも自分自身もポジティブ思考を忘れるなよ」と言葉をくれた。
 教師を目指すと決めたけど、僕の理想はやっぱりお父さんなんだーー

 僕はその時のお父さんの言葉を心に深く刻んだ。
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