rain sound-6
文字数 853文字
-◆-
制服にジャージを羽織った女子とすれ違う。
朱夏はやっぱりこういう空気が苦手だ。
やけにお化け屋敷が多い。時々中を覗きながら気まぐれに歩いているといつの間にか玄関に来ていた。
上靴でたたきに降りようとして一瞬躊躇してから、タッと右足を降ろした。
外に出ようとしてギギッと重いドアを開けると雲間から漏れる日差しが思ったよりも強い。
まぶしさに思わず目を細める。
西門から出入りする自転車の生徒が多くいる。よどんでいるペンキの臭いが鼻をつく。
玄関から門の間にはクラブハウスがあって、その前の広場のような部分でベニヤ板を広げて金槌の音もする。うるさい…静かな場所はないのだろうか。
「しゅーかー!」
朱夏を呼ぶ声がする。
「アイスたべるー?」
「食べる」
ベニヤ板を囲む一群に近づいていく。
「どれ?」
広げられた袋の中に色とりどりのアイスがいっぱいに入っている。
「本当に良いの?」
「いいって。明日の準備だから」
「どんな準備なの?」
そんな会話を交わしながら袋に手を突っ込んで適当に触れたものをつかむ。パピコのコーヒー味。
「半分こする?」
「こんなにあるから大丈夫」
「碧子、知らない?」
「みどりなら生徒会室じゃない?」
「さっき実行委呼ばれてたし」
「それより朱夏、延長コードある?」
「延長コード?」
「男子がさ、電球ぶら下げるとか、ポンプがとか言ってて」
「図書室で見たことあったかな」
「ホント!?」
「今は古本市の扇風機に使ってる」
「だめじゃん」
「いいよ。男子なんかほっとこ」
「それくらいにして、運ぶの手伝ってー」
「あ、ごめん」
「じゃね、朱夏」
うんとうなずいて朱夏は手を振った。持ったアイスの冷たさで手が痛い。
朱夏は回れ右をして生徒会室のあるA棟に向かって歩き出した。
6月24日 曇時々晴 文化祭前日 塗っていた色数8色
どんなものになるのか、興味は持てない
制服にジャージを羽織った女子とすれ違う。
朱夏はやっぱりこういう空気が苦手だ。
やけにお化け屋敷が多い。時々中を覗きながら気まぐれに歩いているといつの間にか玄関に来ていた。
上靴でたたきに降りようとして一瞬躊躇してから、タッと右足を降ろした。
外に出ようとしてギギッと重いドアを開けると雲間から漏れる日差しが思ったよりも強い。
まぶしさに思わず目を細める。
西門から出入りする自転車の生徒が多くいる。よどんでいるペンキの臭いが鼻をつく。
玄関から門の間にはクラブハウスがあって、その前の広場のような部分でベニヤ板を広げて金槌の音もする。うるさい…静かな場所はないのだろうか。
「しゅーかー!」
朱夏を呼ぶ声がする。
「アイスたべるー?」
「食べる」
ベニヤ板を囲む一群に近づいていく。
「どれ?」
広げられた袋の中に色とりどりのアイスがいっぱいに入っている。
「本当に良いの?」
「いいって。明日の準備だから」
「どんな準備なの?」
そんな会話を交わしながら袋に手を突っ込んで適当に触れたものをつかむ。パピコのコーヒー味。
「半分こする?」
「こんなにあるから大丈夫」
「碧子、知らない?」
「みどりなら生徒会室じゃない?」
「さっき実行委呼ばれてたし」
「それより朱夏、延長コードある?」
「延長コード?」
「男子がさ、電球ぶら下げるとか、ポンプがとか言ってて」
「図書室で見たことあったかな」
「ホント!?」
「今は古本市の扇風機に使ってる」
「だめじゃん」
「いいよ。男子なんかほっとこ」
「それくらいにして、運ぶの手伝ってー」
「あ、ごめん」
「じゃね、朱夏」
うんとうなずいて朱夏は手を振った。持ったアイスの冷たさで手が痛い。
朱夏は回れ右をして生徒会室のあるA棟に向かって歩き出した。
6月24日 曇時々晴 文化祭前日 塗っていた色数8色
どんなものになるのか、興味は持てない