rain sound-14
文字数 964文字
―◆―
どんなに願ったって、誰にでも平等に朝は訪れる。
と思ったらなんだか寒い。布団と肩の閒から入ってくる風は冷たく、体をどんどん冷やしてくる。
毛布を体にきつく巻く。今度は鼻先が冷えてくる。体を丸めて寒さを凌ごうとするけれど、滲みてくる寒さは尋常ではない。まるで冬のようだ。
我慢ができずに起き出す。
ブルッとふるえる。そろりと足を床につける。意外と冷たくない。
息は白くないのを確認する。
枕元のデジタル時計を見ると6月25日20℃45%となっている。
温度計だけが壊れたのかと疑って、一度立ち止まり考えてみる。
どれが正しいのか。
「日付」が正しいのならば【温度】がおかしい。
【温度】が正しいのならば「日付」がおかしい。
湿度は…… この際関係ないよね。
では、正しいのはどちらか。その答えを求めてカーテンの方を見る。遮光カーテンを囲むように光がぼんやりと広がっている。
求めよ。さらば与えられん。
朱夏は意を決するとカーテンを開けた。
白い壁がある。空間が白で満たされている。見上げれば空はねずみ色。ガラスのスミがうっすらと白くなっている。触れてみても字は書けなかった、
寒いわけだ。
正しいのは日付の方だったのかと朱夏は思う。
ゴウンゴウンと低い音が外から響いている。
ベッドの上を見れば放り出されているエアコンのリモコン。愛称はこんこん。
恐らくはこうだ。
寝ている間にベッドのそばに掛かっているリモコンを左手で突き上げて外れたリモコンが布団の上に転がる。そのまま体の下敷きになったところでピッ。その後もゴロ…ピッ、ゴロ…ピッが繰り返され、設定が冷房・強風・18℃になったというわけだ。
まったくどんなことでも起こりうるのだと思うた。笑ってくれ。この哀れな女子高校生を。
ちょっとだけ異世界? もしかして銀世界? とか期待した自分を恥じながらエアコンを止める。
窓を開けて六月の湿った空気を入れる。足下がむわっとする。
朱夏の意識も現実に引き戻される。
時計はやっぱり6月25日を示している。
とりあえず朝ごはんを食べよう。
6月25日 雨 文化祭1日目 室温20℃
まだ夢かもしれない。
どんなに願ったって、誰にでも平等に朝は訪れる。
と思ったらなんだか寒い。布団と肩の閒から入ってくる風は冷たく、体をどんどん冷やしてくる。
毛布を体にきつく巻く。今度は鼻先が冷えてくる。体を丸めて寒さを凌ごうとするけれど、滲みてくる寒さは尋常ではない。まるで冬のようだ。
我慢ができずに起き出す。
ブルッとふるえる。そろりと足を床につける。意外と冷たくない。
息は白くないのを確認する。
枕元のデジタル時計を見ると6月25日20℃45%となっている。
温度計だけが壊れたのかと疑って、一度立ち止まり考えてみる。
どれが正しいのか。
「日付」が正しいのならば【温度】がおかしい。
【温度】が正しいのならば「日付」がおかしい。
湿度は…… この際関係ないよね。
では、正しいのはどちらか。その答えを求めてカーテンの方を見る。遮光カーテンを囲むように光がぼんやりと広がっている。
求めよ。さらば与えられん。
朱夏は意を決するとカーテンを開けた。
白い壁がある。空間が白で満たされている。見上げれば空はねずみ色。ガラスのスミがうっすらと白くなっている。触れてみても字は書けなかった、
寒いわけだ。
正しいのは日付の方だったのかと朱夏は思う。
ゴウンゴウンと低い音が外から響いている。
ベッドの上を見れば放り出されているエアコンのリモコン。愛称はこんこん。
恐らくはこうだ。
寝ている間にベッドのそばに掛かっているリモコンを左手で突き上げて外れたリモコンが布団の上に転がる。そのまま体の下敷きになったところでピッ。その後もゴロ…ピッ、ゴロ…ピッが繰り返され、設定が冷房・強風・18℃になったというわけだ。
まったくどんなことでも起こりうるのだと思うた。笑ってくれ。この哀れな女子高校生を。
ちょっとだけ異世界? もしかして銀世界? とか期待した自分を恥じながらエアコンを止める。
窓を開けて六月の湿った空気を入れる。足下がむわっとする。
朱夏の意識も現実に引き戻される。
時計はやっぱり6月25日を示している。
とりあえず朝ごはんを食べよう。
6月25日 雨 文化祭1日目 室温20℃
まだ夢かもしれない。