第9話 仇討ち稼業

文字数 728文字

ヴィンセントは宿に入った。
「すまない、今晩部屋は空いているか」
「ええご宿泊ですね、はい空いております」
受付の男が答えた。
「この宿には電話があるか?」
「ええございます、お部屋にお繋ぎ致しましょうか?」
「頼む、暫く借りたい」

ヴィンセントは部屋に入ると椅子に座りテーブルに右手の鞄を置き中を開けた。
「違うこれじゃない…違う…だからこれじゃない、そうだこれだ」
鞄から書類が飛び出してきたのを掴んだ。

ヴィンセントは書類を見ながら電話を掛けた。
「サリーナ、私だ    ああ商談は問題なく終わった、後は四社を買収するだけだ    いや予定が変わった急ぎの仕事だ   仇討ちだ時間がない、明日のうちにこちらにこれる剣士を寄越してくれ    相手は剣客の血まみれのゼンだ   提示された金額が七千ガリオン、そこから手数料を差し引くと  分かっている厳しい条件だ   リストは見ているか?  ああこっちも見ている今直ぐにこれる奴だとランドンは?   捕まっている?   脱獄させる予算はないほっとけ   北のハマナはどうだ?    死んだ?いつ?   分かった後で家族(弟妹)に金を送ってやれ。他は   駄目だ奴では五分五分だ、確実に顧客の要望に答えたい   ジャンは  引退?   リウマチで…あのジジイ隠居にはまだ早すぎる。他にはいないか」

ヴィンセントは窓辺から零れる夕日にあたりながら紅茶を(たしな)んでいた。
(参った見つからないとは)
ヴィンセントは内心少し焦り始めた。
(落ち着け問題ない、今は紅茶を飲み心なだらかに…答えは見つかる)
窓の外を見た、何も面白みのない景色だ、道を歩く人々ど荷馬車、寂れた町並み。
ヴィンセントは深呼吸をした。
(仕方ない

に頼むか)
ヴィンセントは電話を掛けた。


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登場人物紹介

ヴィンセント

黒のハットとスーツを着こなし右手に手錠で繋がった金属製の鞄をを常に持つイーター商会の代表取締役社長

目的の為なら手段をいとわない

彼の出生、過去、目的は不明

ミレーユ

世界一の商人を目指す少女

勝ち気で負けず嫌い、商売で困っている人たちを助けてあげる事を目標にしている

非情な商いをするヴィンセントを敵視している

一人で店を切り盛りしているマリーンを尊敬している

イデス イーター商会番頭 幹部

がさつで粗暴の荒いが義理人情に厚い

一度仲間だと認めた相手には優しいが、初対面の相手にはガンを飛ばすなど怒ると手がつけられない狂犬

常に店番をしている

ヴィンセントの命令には絶対服従

アルバート イーター商会傭兵 幹部

イーター商会専属の傭兵部隊「ガーコ」の隊長

屈強な体格と顔の傷を隠す様にサングラスを掛け、見た目は近寄りがたいが誰にたいしても優しく心優しいジェントルマン

己の肉体と隊員たちに愛のムチと言って日々、肉体と戦闘技術を鍛えた後甘い物を食べるのが日課

ヴィンセントに対して絶対的な信頼をよせている

ユース イーター商会霊媒師 幹部

中性的な容姿と顔立ちで初対面で会った相手は男か女かわからないほどの美青年

華奢な身体のわりに自分の背丈ある木片で作られた張りぼての棺を背負っている

誰にたいしても物腰が柔らかく、礼儀正しい

ヴィンセントには絶対的な忠誠を誓う

コレッティア イーター商会技術開発 幹部

海外から来た科学者兼技術者

極度の対人恐怖症で常に自分の研究室にひきこもっている

滅多に顔を出さないので商会内でも彼女の存在を知るものは少ない

彼女の知識・技術は今の帝国を遥かに凌駕する程

ヴィンセントには絶対的な信用を寄せている

サリーナ イーター商会社長秘書

ヴィンセントと社員のスケジュール管理、資料作成管理、時にはヴィンセントの留守の間社長代理を勤める

仕事意外の会話は一切せず、機械の様に仕事をこなす

社長のヴィンセントの指示には必ず従う

パム イーター商会運転手

いつも笑顔が絶えないイーター商会の専属運転手

十代ながら天才的な運転技術を持ち、目的地まで最速、安全に飛ばす。

マリーン コレリア雑貨店店主

老舗雑貨店を切り盛りしている魔女

主に薬草や医薬品、日用雑貨を中心に取り扱う

ヴィンセントとは長い付き合い

ユベール・ロッシュ・Jr.  探偵

ヴィンセントの義理の叔父

帝都の郊外で名前のない探偵事務所を運営している

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