第4話 悪魔
文字数 917文字
噂を聞き保安官事務所に何人かの人々が集まってきた。人々がまず見たのは放心状態の保安官だった。
保安官が見つめる先には十四個の血の滴るずだ袋が床に転がっている。
「保安官、本当に奴らなのか?」
集まってきた一人が聞いた
「…ああ…顔を見た…農場も見てきた」
その場にいる全員がざわめいた。
「あんな殺し方は見たことない…人間がやる事じゃない」保安官の声は震えていた。
一時間ほど前馬車に乗った男が現れ首を持ってきたと言って懸賞金を要求してきた。そんなはずはない。男はずだ袋を一つ保安官の前に放り投げた。袋は血まみれで恐る恐る中を確認すると、中には恐怖で顔が歪んだ農場主の頭が入っていた。何て酷い、だが男は続け様にずだ袋をどんどん投げてきた。
「きっちり十四人だ。さあ賞金をいただこうか」
ヴィンセントは馬小屋の主に馬と馬車、それと精肉店には農場の家畜を売り払った迎えが来るのを待っていた。町の入り口に置かれた箱には商品とライフル五丁とリボルバー一丁。
(銃には目立った傷はないが弾薬はほとんど撃ち尽くしられた、奴らの時代遅れの銃と首で何とか黒字にはなるが、今後このような事態を想定したプランを考えなくては)
頭の中で今回の商談の利益を計算していた時、酒場の前で会った少女と男の子がやって来た。しばらく沈黙が続いた後少女が口を開いた。
「ありがとう、そしてごめんなさい。私たちあいつらに親を殺されて…」涙をこらえながら言った。
その時、とてつもない速さで黒塗りの車が回転しながらヴィンセントの目の前に止まった。
「お待たせしました!」
ハンチング帽をかぶった少女が笑顔で降りてきた。
「パム、荷物を頼む」
「かしこまりました!」笑顔で答え、直ぐさに取りかかった。
「お兄さんがあいつらを倒したの?」
男の子は先ほどとはうってかわって目を丸くして質問した。
「お兄さんは何者なの?正義の味方?」
「いいや、違う」
保安官事務所ではとある噂を話していた
確か西の町でも同じ様なことが
確か金属の鞄を持った男がやったとか
他にも色々とやってるとか
間違えない、
あいつ
だ「坊主、よく覚えておけ」
車の後部座席を開けた。
「俺の名は…」
そう奴の名は…
ヴィンセント・ストライク
悪魔と取引した男だ