第20話

文字数 460文字

その日は金曜日だったので、昼過ぎまで寝て、午後3時から夜11時まで仕事に行った。その時、僕は店長候補をしていた。休みは土曜日と日曜日だった。翌日の土曜日にみゆきに電話して、日曜日の夕方6時に職安通りにあるドン・キホーテで待ち合わせすることにした。

そうして、日曜日に、天井まで商品が積み重ねられた迷路のようなドン・キホーテでみゆきを見つけ、僕たちは店内をしばらく見て回った。みゆきは何か小さなものを手に取りながら見ていた。どういうことを話したのか、ほとんど記憶にないが、彼女の美しさは相変わらずで、人々の視線を引きつける魅力があり、芸能人にでもなれるかのようだった。僕はその様子を見ながら少し緊張していた。みゆきが僕に会って特別に喜ぶ理由はないだろうし、それに店内は若い人で賑わっていたし、なによりも今からしゃぶしゃぶを食べに行くわけだから。財布には一応五万円入れてきたが、果たしてそれで足りるかどうかわからなかった。この前みゆきがタクシー代やゲイバー、焼肉屋まで全ておごってくれたので、今日は僕がおごる番だと感じていた。
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