第8話
文字数 611文字
霧雨が降る中、二人でタクシーに乗り、新宿に向かった。そして、夜10時すこし前に西武新宿にある中華居酒屋に入って、男たちの視線が集中する中、みゆきは気にせずに案内されたテーブル席に座った。
雨のせいか、店内は空いており、喧騒に紛れた心地よい雰囲気ではなく、こんな綺麗な女がこんなガキといったいなにをしてやがるんだ、というような目付きで僕らのほうをじろじろ見た。
また僕は一緒にいて楽しい相手ではなく、神経質で、優柔不断な態度をとり、とっておきの笑顔なんかで相手を気持ちよくさせるようなタイプの人間ではない。ひとりで手持ちぶさたにしている。そんな感じの人間だ。
そういうと、さぞ気づまり、というかぎこちないものだったのではないか、と思うかもしれないが、そんなことはまるでなかった。
みゆきは、そんな僕を鼻で笑いながら酒を飲み、そこのサウナによく通っている話を始める。僕はみゆきの話に時々うなずいたり、微笑んだりした。
そのうち、トイレに行きたくなり、トイレに立って小便をしてから鏡を見て、手櫛で髪をとかし、戻ると、みゆきが「あ、顔つきが変わった」と言って微笑んで僕を見た。
これもたまにあるんだけどさ、こっちは何にもしてないのに、昔なら先生から、今なら職場の人なんかが、最近顔つきがかわったなんて、褒めてくれることがあるんだけど、こっちからすると、なんのこっちゃ?って話し。わかる?
要するに人の評価なんてのは、髪型なんかできまちゃうんだ。
雨のせいか、店内は空いており、喧騒に紛れた心地よい雰囲気ではなく、こんな綺麗な女がこんなガキといったいなにをしてやがるんだ、というような目付きで僕らのほうをじろじろ見た。
また僕は一緒にいて楽しい相手ではなく、神経質で、優柔不断な態度をとり、とっておきの笑顔なんかで相手を気持ちよくさせるようなタイプの人間ではない。ひとりで手持ちぶさたにしている。そんな感じの人間だ。
そういうと、さぞ気づまり、というかぎこちないものだったのではないか、と思うかもしれないが、そんなことはまるでなかった。
みゆきは、そんな僕を鼻で笑いながら酒を飲み、そこのサウナによく通っている話を始める。僕はみゆきの話に時々うなずいたり、微笑んだりした。
そのうち、トイレに行きたくなり、トイレに立って小便をしてから鏡を見て、手櫛で髪をとかし、戻ると、みゆきが「あ、顔つきが変わった」と言って微笑んで僕を見た。
これもたまにあるんだけどさ、こっちは何にもしてないのに、昔なら先生から、今なら職場の人なんかが、最近顔つきがかわったなんて、褒めてくれることがあるんだけど、こっちからすると、なんのこっちゃ?って話し。わかる?
要するに人の評価なんてのは、髪型なんかできまちゃうんだ。