第17話

文字数 350文字

肉が運ばれてくると、みゆきは右手にトングを持ち、左手には携帯を持って、話しながら焼き始めた。そして焼けたタン塩を僕の小皿に入れてくれた。

食べていると、またタン塩を僕の小皿に入れてくれ、それが続き、僕が「もういい、もういい、いらない、いらない」と声を出さないで言うと、みゆきの目が僕を笑っていた。

携帯で話しながら見ているだけでも、カルビまで骨の折れる作業が続いたが、ロースを焼く頃には、僕がトングを持って焼いていた。貸せ、バカタレ。みゆきは男との電話に夢中だった。

しかし、おい、お前、いいかげんにしろよ、まったく。だとか、めったな口はきかないほうがいいと思って、僕はぜんぜん知らん顔をしていた。

なにせ、食事を付き合ってもらったわけだから。

でも、もうどっちが付き合ってやってんだか、よくわからなかったな。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み