第25話

文字数 681文字

みゆきの元を後にし、正面玄関の出口の方へ向かって歩いた。前へ一歩進むたびに、一歩後退するような感覚がして、ドアが両開きに開いた。病院を出て、脇道に入った。路地に。急に、壁を背にしてずり落ち、泣きたい衝動に襲われた。

駅まで歩いていく間、みゆきの顔が浮かんできた。彼女に会うことは二度とないだろう。そして、みゆきに会うことは二度となかった。

駅前ロータリーに続く改札を抜け、長い階段を登ってホームに出ると、空の下に屋根が並んでいるのが見え、すべてから切り離されたようだった。この途方もない孤独を止める方法はあるのだろうか?この話にふさわしいときなど永遠にめぐってこないと思っていた。だけど、いつか特別な物語に変わるように願っていた。

帰りの電車でドアに寄りかかって外を眺めていると、ランドセルを背負った子供たちが歩いている姿が見えた。信号に二人いた。並んでいた。

さまざまな感情がこみ上げては消え、しまいにこの上もなく寂しくなり、それに押し潰されそうになるほどだった。僕はどこに向かっているのか漠然と考えた。どこへ行っても一人だって。そんなふうに考えてから上空をちらっと見て、前を見つめ、雲の切れ間から空をさえぎる新宿副都心の高層ビル群の間に陽光がかすかに射すのを眺めていると、胸に描いていた永遠と重なって見えた。

電車は長いゆったりとした曲線を描きながら走っていた。

けど、この世に永遠があるかどうかなんて……。

わかっているのは、汚れながら、歩く死人のように肩を落としながら、それでもずっと探していた。

君のことを。
 

              
            おわり
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