第9話
文字数 278文字
ともあれ、みゆきから顔つきが変わったと言われて、僕は控えめに笑いながら席についた。そして、さりげなく尋ねた。「ねえ、しゃぶしゃぶ食べたことある?」と、もの悲しげな様子で話したのである。こんなふうに。
「俺、しゃぶしゃぶ食べたことないんだよね、うち母子家庭で貧乏だったからさ」と、架空の身の上話をはじめた。
なぜなら、彼女がデリヘル嬢であることから、この女性に対しては何を言っても、その後どうなろうと知ったことではないからである。したがって言葉のやり取りがどうなるかについては気にしないつもりだった。しかし、たいしたごまかしではないとはいえ、後ろめたさはあった。
「俺、しゃぶしゃぶ食べたことないんだよね、うち母子家庭で貧乏だったからさ」と、架空の身の上話をはじめた。
なぜなら、彼女がデリヘル嬢であることから、この女性に対しては何を言っても、その後どうなろうと知ったことではないからである。したがって言葉のやり取りがどうなるかについては気にしないつもりだった。しかし、たいしたごまかしではないとはいえ、後ろめたさはあった。