第19話 都市イヌイット

文字数 1,087文字

イヌイットの伝統的な生活を捨てて、都市に移住するイヌイットの人々が増えているらしい。
というのも、都市にイヌイットの人々をサポートする機関があるらしいのだ。

イヌイットの人々が極北地域の村を出る理由としては、職不足、住宅不足、暴行事件の頻発、飲酒や麻薬問題などがある。また、高等教育機関や専門病院がないという理由もある。

都市に住むイヌイットの間には高い失業率などの経済問題が存在している一方、飲酒、麻薬、売春などの社会問題も存在する。

イヌイットはよくダウンタウンのバーやアパートに集まり、昼間からビールを飲んでいる。現金を持っている人がビールを購入し、ほかの人にも分配する。飲み始めるとビールがなくなるまで飲み続けることが多い。昼から翌日にかけて飲みつづけ、酔っ払って大声を出したり、けんかをはじめたりする。酔ったままバスや地下鉄に乗り、大声でわめくので、ほかの乗客の顰蹙(ひんしゅく)を買うこともある。また、頻繁に飲み会を催すイヌイットが、騒音を理由にアパートを追い出されることもあるそうだ。

これを聞いて、2023年11月12日に渋谷ユーロスペースの「フィンランド映画祭」で見た、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の映画『枯れ葉』(原題:Kuolleet lehdet)(https://kareha-movie.com/)を思い出した。なんでも一度引退宣言をしたカウリスマキ監督がマイケル・ジョーダンみたいに復帰して作った映画で、男女の短い恋愛映画だが、女の方がムーミンの作者トーヴェ・ヤンソンで、なんだか酷い肉体労働ばかりしていて、男の方が仕事中に飲んでいて何度も解雇されるアル中ぽい。で、トーヴェの女優の近親者もアル中で酷い目に遭ったみたいで、男に「あなたは好きだけどアル中はダメ」とビシッと言う。フィンランドは何回か旅行しただけだが、酔っ払いぽい人もいた。寒くて独りで仕事がなかったりすると、飲んだりするのだろうか。寒いのは北極圏のイヌイットはもっとだから、共通する問題かも知れない。

生活のためというより、ビールや麻薬を手に入れるために、バーやアパートで売春するイヌイットの女性がいるそうだ。中には売春組織にとらわれ、強制的に客を取らされている女性もいると言う。

ということで、イヌイットの人々の暮らしにもさまざまな現代的問題が存在している一方、イヌイット伝統の彫刻作品や絵画を制作したりして、生活の足しにしたり、アーティストになったり、とにかく文化を継承している人々もいると言う。国や村の制度を上手に利用して、イヌイットとして生きていってくれたら素晴らしいと思う。


イヌイットアート



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登場人物紹介

スヴェン・イルマリネン。フィンランド・オストロボスニア生まれ。24歳で帝政ロシア軍中尉。3年間の流刑の後、27歳で言語学者ネストリ・ミクライネンの助手としてシベリアならびにアラスカ、カナダ、グリーンランドのエスキモー語の調査を行う。名狙撃手。

ネストリ・ミクライネン。フィンランド、サイマー湖畔出身の言語学者。大帝エカテリーナ(二世)の腹心、ダーシュコヴァ夫人に頼んで、スヴェン・イルマリネンを言語学フィールドワークの助手にしてもらう。年齢不詳。中年。おそらく40代。ヴァイオリンが得意。

エカテリーナ大帝(二世)。フランス革命後はロシアの自由を制限したが、農奴を自由にする法律を作った以外は、文化芸術に造詣が深い賢帝。例えば、自分の身体でワクチンを試しもした。ダーシュコヴァ夫人に、スヴェン・イルマリネンの恩赦を許した。

ダーシュコヴァ夫人。ロシアアカデミー総裁。ネストリ・ミクライネンの求めに応じて、スヴェン・イルマリネンを助手にするため、エカテリーナ大帝にスヴェンの恩赦を願い出て受け入れられる。醜女と言われているが、エカテリーナ大帝のクーデターに協力し、長く信頼関係にあった(が晩年は別れた)。

セレブロ(銀)。土星のイヌイット群衛星(本当にそういう衛星が土星にあるのです、仰天しました!)から時空を超えて地球の帝政ロシアに飛来した巨人族。女性科学者。ダーシュコヴァ夫人から依頼されて、ネストリとスヴェンのシベリア言語調査を支援する。その理由は故郷のイヌイット衛星群の名にあった。

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