第7話 ドラムダンス
文字数 574文字
チュクチのトナカイの群れは、ネストリもスヴェンも遠くから見せてもらったが、夏の放牧にも冬の移動にも中途半端な時期だったので、スヴェンが言語調査をした若い猟師が、仲間を集めて、野外でドラムダンスを披露してくれた。美味しいトナカイ肉をご馳走になった後に。
暖かい民族衣装に身を包んだ若者たちは、野外で、天気のいい日に、二人のフィンランド人と、村の人たちを前に、大きくて薄い、片面だけを叩くチュクチの太鼓を持って踊りながら、歌った。バチを使って叩き、先は丸くなっている。
自分の土地があり、その上に住めるのはなんと素敵なことだ
この白い大地にしっかりとテント式住居 を建てよう
古来チュクチの人々は、ピョートル大帝の時代に、ほかの民族と違ってロシアに刃向かった。それで酷い虐殺もあったし、女や子供も虐待された。
その後、支配はもっと緩やかになったが、それでも飼っているトナカイの数が少ないことが検査で分かり、責任者の若者が牢獄に入れられたことがあった。トナカイの数が少なかったのは、一番強く、賢く、独立心の強いトナカイが群れを飛び出し、それにつられて多数のトナカイが逃げ出してしまったためだった。ほとんど不可抗力の出来事だったが、その理由は聞いてもらえなかった。結局、若者はおかしくなって獄死してしまった、とあるお婆さんがネストリとスヴェンに涙ながらに話してくれた。
暖かい民族衣装に身を包んだ若者たちは、野外で、天気のいい日に、二人のフィンランド人と、村の人たちを前に、大きくて薄い、片面だけを叩くチュクチの太鼓を持って踊りながら、歌った。バチを使って叩き、先は丸くなっている。
自分の土地があり、その上に住めるのはなんと素敵なことだ
この白い大地にしっかりとテント
古来チュクチの人々は、ピョートル大帝の時代に、ほかの民族と違ってロシアに刃向かった。それで酷い虐殺もあったし、女や子供も虐待された。
その後、支配はもっと緩やかになったが、それでも飼っているトナカイの数が少ないことが検査で分かり、責任者の若者が牢獄に入れられたことがあった。トナカイの数が少なかったのは、一番強く、賢く、独立心の強いトナカイが群れを飛び出し、それにつられて多数のトナカイが逃げ出してしまったためだった。ほとんど不可抗力の出来事だったが、その理由は聞いてもらえなかった。結局、若者はおかしくなって獄死してしまった、とあるお婆さんがネストリとスヴェンに涙ながらに話してくれた。