第15話 ブリジット・バルドーとアザラシの毛皮
文字数 1,715文字
(news.nationalpost.comより)
ブリジット・バルドーと言えば、若い頃はセクシーな女優で有名だったが、動物保護活動でも有名だ。ブリジット・バルドーにちなんで名付けられた、カナダ、ケベックのレストランのシール肉(アザラシの肉)バーガーに、動物の権利活動家たちが猛反対した。ヨーロッパ、EUでは、2009年アザラシの肉を使った食品は輸入禁止になり、禁止されていないカナダでフランス人が食べていた。そのことがFacebookで炎上し、動物愛護運動家「ブリジット・バルドー」さんの知ることになった。バルドーの動物愛護活動はアザラシだけではないが、その中でアザラシに関係するものを挙げると以下のようになる。
ブリジット・バルドーは1978年、子供用にアザラシの赤ちゃんの話の本『Noonoah le petit phoque blanc(ヌノア 小さな白いアザラシ)』を出版した。
1983年3月28日、欧州評議会に受け入れられた後、欧州連合内でアザラシの仔の毛皮と、白いアザラシのオーバーコートの輸入が禁止になった。
彼女の出版した本は、今でもAmazonで売っている。その表紙と説明(日本語訳)は次のとおり。
小さな白いアザラシのヌーノアは、両親の間で幸せに成長しています。 アザラシの赤ちゃんを虐殺するためにやって来たハンターの出現に、家族は恐怖を感じます。 幸いなことに、小さなエスキモーのイルコウは友達を守ることを決意しました。 彼は虐殺されたアザラシの血にまみれたヌーノアを救うことに成功するでしょう。 イルコウは、世界中で毛皮のコートが血で汚れ、人々が毛皮のコートを着なくなることを夢見ています。 それは単なる夢であり、現実は依然として残酷であり、私たちはそれをすべての人に知らせて殺害を回避するためにあらゆる方法で戦わなければなりません。
ここではまるでエスキモーがかすみを食べて生きているかのようだ。エスキモーのイルコウの両親はアザラシ猟を生業にしていたのではなかったのか? アザラシの毛皮による現金収入がなくなると困らないのか? そういう視点はこの本にはないようだ。ついでに、読者のレビュー(高評価が多い)も見てみよう。
アメリカ合衆国からのトップレビュー
この小さな本が大好きでした。 でも、私はブリジット・バルドーが大好きです! これは、彼女の動物愛護活動を非常に優しい方法で明らかにする、よく書かれた愛らしい小さな本でした。 もちろん、翻訳してもらう必要がありましたが、それでもとても楽しむことができました。 よく書かれており、愛らしいイラストが描かれています。
フランスからのトップレビュー
ブリジット・バルドーは何をやっても素晴らしいです。 20世紀で最も美しく才能のある女優は、後に自分自身が優れた作家であることを明らかにしました。 この子供向けアルバムは、彼女の出版における最初の一歩を表しています。 完全に成功ですね。
いまでも、小さなエスキモーは自分で自分の首を絞めることで、アメリカやフランスから賞賛を得ている。
1983年ヨーロッパ共同体は、アザラシの毛皮の輸入を全面的に禁止した。
それは、ブリジット・バルドーを旗印とする動物愛護運動が、政界や財界を動かしたからだ。
アザラシの毛皮は売れなくなった。
かつて1960代から、カナダ・イヌイットの現金収入源のひとつは、アザラシの毛皮を売ることであった。この毛皮からの収入で、イヌイットのハンターはライフルや銃弾、漁網、スノーモービル、ボート、船外機、ガソリンを購入し、狩猟や漁労を続けることができた。さらにアザラシの脂肪はイヌイットの間で分配され、食料となった。このようにアザラシ猟と毛皮貿易が結びついた経済システムが形成されたが、1983年のヨーロッパ共同体によるアザラシ毛皮の輸入禁止によって、このシステムは機能しなくなり、イヌイット社会に大きな経済的ダメージを与えた。ヨーロッパ市場でのアザラシ毛皮の需要の消滅が、極北地域に住むイヌイットの生活を直撃した。このダメージは、ある意味で、イヌイットにとっては日本におけるバブルの崩壊に匹敵する大事件であった。