第18話 イヌクティトゥット語の不思議な文字

文字数 2,402文字

カナダのイヌイット語(イヌクティトゥット語とこれから呼ぶことにする)は、ユピックエスキモー語と近く、それらの特徴を共有していると思われる。

イヌクティトゥット語([ɪˈnʊktɪtʊt]英:Inuktitut 原語表記:ᐃᓄᒃᑎᑐᑦ )および東部カナダイヌクティトゥット語は、カナダのエスキモー系民族のイヌイットにより広範に話される言語である。言語名の意味は inuk + -titut 「人のように・らしく」。カナダ先住民文字で記す言語の一つ。

ヌナヴィク地域

ケベック州にはイヌイットおよそ1万2千人が暮らし、ほぼ全員がヌナヴィク地域に住んでいる。2001年の統計では、ケベック州内のイヌイットの90%はイヌクティトゥット語を話すことができる。

まずは、イヌクティトゥット語のあの宇宙人みたいな文字から入ろう。


イヌクティトゥット (titirausiq nutaaq) を書くために使用される音節文字。 ドットが付いた余分な文字は長母音を表します。 ラテン語転写では、母音は 2 倍になります。(Wikipediaのパブリックドメイン画像)

文字の話をしているところへ、イヌクティトゥットの特徴を面白く説明しているサイトがあったので、引用したい。
https://note.com/polyaruki/n/nc0338db46469

チュクチ語やユピックエスキモー語のところでも書いた「抱合語」(エスキモー諸語の知られた特徴として、単語の構成要素が独立しておらず、まるで一つの文のように合体する)まるで複数のロボットが変形合体して、一つの大きなロボットになるみたい、という現象がある。
「イヌクティトゥット語はロボ変形合体」か。深い…。

I am going to school.(英語)

Illinniavimmuuqtunga(イヌクティトゥット語)
illinniavik = 学校
-muuq- =〜へ行く
-tunga = (私:一人称単数の語尾)

数の概念
1つ
2つ(双数)
3つ以上(複数)
双数はチュクチ語やユピックエスキモー語にも登場した。

次に文字の読み方だが、ツイッター(X)のツイログをしている方がいたので引用させていただく。https://twilog.togetter.com/inuktitut_tan/2

イヌクティトゥット語のあいさつ

ᐅᓪᓛᒃᑯᑦ
ullaakkut
うっらーっくと!
(おはよう)

ᐅᓪᓗᒃᑯᑦ
ullukkut
うっるっくと!
(こんにちは)

★なんかイヌクティトゥット語文字が、ASCIIアートに見えるが気のせいだろうか。
あと、音を聞きたいならYouTubeにイヌクティトゥット語の動画も結構ある。

その 1 母音字

▶母音だけを表す文字(短母音)

ᐊ /a/ [ a ]

ᐃ /i/ [ i ]

ᐅ /u/ [ u ]

ᐁ /ai/ [ ei ] ※発音注意 ヌナビクの古い文書で使用

その 2 母音字

▶母音だけを表す文字(長母音)

ᐋ /aa/ [ aa ]

ᐄ /ii/ [ ii ]

ᐆ /uu/ [ uu ]

ᐂ /aai/ [ (aa/ee)i ] ※発音注意 ヌナビクで,外来語や聖書本文などを表記するために使用

自己紹介

ᑭᓇᐅᕕᑦ? (kinauvit?)
:あなたのお名前は?

…ᐅᔪᖓ, …ᖑᔪᖓ
(〜ujunga、〜ngujunga)
:私の名前は〜です

〜ngujungaの方は子音で終わる外国人の名前に使われる事があるらしいのだ
日本人なら名前が"ん"で終わるヒトなのだ

ᐁ カナダ先住民文字の [ei]。「やあ」という挨拶
∇ ナブラ(ベクトル解析の微分演算子)

ᐃ カナダ先住民文字で [ i ] という文字
∆ ラプラシアン(物理数学)
Δ ギリシャ文字のデルタ
ꕔ ヴァイ文字
ㅿ ハングル
ンコ文字のMA ߡ
△ 「さんかく」で変換
おお、肝はそこか。ハイゼンベルクの不確定性原理の式にも△あったぞ。「さんかく」で押していくといろいろ出るってことかな。イヌクティトゥットのユニコード文字もちゃんとあるみたいだから、本式にやるんならインストールだな。

ひらがな・五十音⇔
カナダ先住民文字(イヌクティトゥット文字)

が行
ᒡ [g]
ᒐ [ga]
ᒋ [gi]
ᒍ [gu]

ざ行&だ行
無い!

ば行
ヴァ行で代用

ぱ行
ᑉ [p]
ᐸ [pa]
ᐱ [pi]
ᐳ [pu]


ᓐ [n]
ᖕ [ŋ]

ひらがな・五十音⇔
カナダ先住民文字(イヌクティトゥット文字)

は行
ᕻ [h]
ᕹ [ha]
ᕵ [hi]
ᕷ [hu]

ま行
ᒻ [m]
ᒪ [ma]
ᒥ [mi]
ᒧ [mu]

や行
ᔾ [j]
ᔭ [ja]
ᔨ [ji]
ᔪ [ju]

ら行
ᓪ [l]
ᓚ [la]
ᓕ [li]
ᓗ [lu]

ヴァ行
ᕝ [v]
ᕙ [va]
ᕕ [vi]
ᕗ [vu]

ひらがな・五十音を
カナダ先住民文字(イヌクティトゥット文字)で表記

あ行
ᐊ [a]
ᐃ [i]
ᐅ [u]

か行
ᒃ [k]
ᑲ [ka]
ᑭ [ki]
ᑯ [ku]

さ行
ᔅ [s]
ᓴ [sa]
ᓯ [si]
ᓱ [su]

た行
ᑦ [t]
ᑕ [ta]
ᑎ [ti]
ᑐ [tu]

な行
ᓐ [n]
ᓇ [na]
ᓂ [ni]
ᓄ [nu]

その他「世界人権宣言」をイヌクティトゥット文字にするとか、ひらがなカタカナをイヌクティトゥット文字にするとかもう凄すぎる…。自分はちょっと「言語系」かと思っていましたが、世の中には凄い人がたくさんいるので、ぜんぜんそう思わなくなりました。

https://ja.wiktionary.org/wiki/カテゴリ:イヌクティトゥット語
Wiktionaryにもあります…。


説明:イヌクティトゥット語で「STOP」と書かれた赤い八角形の一時停止標識: ᓄᕐᒃᑲᕆᑦ、ヌナブト準州イカルイト。
Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unportedのライセンスがある画像。

まとまりがなくて、すみません。

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登場人物紹介

スヴェン・イルマリネン。フィンランド・オストロボスニア生まれ。24歳で帝政ロシア軍中尉。3年間の流刑の後、27歳で言語学者ネストリ・ミクライネンの助手としてシベリアならびにアラスカ、カナダ、グリーンランドのエスキモー語の調査を行う。名狙撃手。

ネストリ・ミクライネン。フィンランド、サイマー湖畔出身の言語学者。大帝エカテリーナ(二世)の腹心、ダーシュコヴァ夫人に頼んで、スヴェン・イルマリネンを言語学フィールドワークの助手にしてもらう。年齢不詳。中年。おそらく40代。ヴァイオリンが得意。

エカテリーナ大帝(二世)。フランス革命後はロシアの自由を制限したが、農奴を自由にする法律を作った以外は、文化芸術に造詣が深い賢帝。例えば、自分の身体でワクチンを試しもした。ダーシュコヴァ夫人に、スヴェン・イルマリネンの恩赦を許した。

ダーシュコヴァ夫人。ロシアアカデミー総裁。ネストリ・ミクライネンの求めに応じて、スヴェン・イルマリネンを助手にするため、エカテリーナ大帝にスヴェンの恩赦を願い出て受け入れられる。醜女と言われているが、エカテリーナ大帝のクーデターに協力し、長く信頼関係にあった(が晩年は別れた)。

セレブロ(銀)。土星のイヌイット群衛星(本当にそういう衛星が土星にあるのです、仰天しました!)から時空を超えて地球の帝政ロシアに飛来した巨人族。女性科学者。ダーシュコヴァ夫人から依頼されて、ネストリとスヴェンのシベリア言語調査を支援する。その理由は故郷のイヌイット衛星群の名にあった。

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