第20話 グリーンランドのエスキモー語

文字数 1,566文字


ヌナヴィク(ヌナブト)からグリーンランドへ

セレブロが、ネストリ・ミクライネンとスヴェン・イルマリネンをヘリコプターで迎えに来てくれた。アラスカやカナダでテレビやインターネットを見たフィンランド人たちは、もう文明の利器にあまり驚かなくなっていた。

まずはWikipediaで概要をおさらい。
グリーンランド語とは
グリーンランド語(グリーンランドご、Greenlandic, Greenlandic Inuktitut)はエスキモー・アレウト語族の言語のひとつ。デンマーク領グリーンランドのカラーリット(グリーンランド・イヌイット)によって話されておりカナダのイヌクティトゥット語などと同族である。

イヌクティトゥット語のうちグリーンランドで話される諸方言をグリーンランド語と呼ぶことと、イヌクティトゥット語の一方言のカラーリット語 (Kalaallisut) をグリーンランド語と呼ぶこととがある。広義のグリーンランド語は、西方言のカラーリット語 (Kalaallisut)、東方言のトゥヌミート語 (Tunumiutut)、北方言のイヌクトゥン語 (Inuktun) があり、話者数ではカラーリット語が約5万7千人と群を抜いており他のエスキモー・アレウト語族の全言語の話者よりも多い。学校などで学習するのはこの西方言である。

グリーンランド語の特徴
グリーンランド語は複統合的言語 (polysynthetic language) で、語根と接尾辞をつなぎあわせることによって長い単語を作ることが可能である。その形態統語的アラインメントは能格型であり、自動詞の項(「主語」)を他動詞の目的語のように扱う(格標識する)のに対して、他動詞の動作主(「主語」)を区別して扱う。
(チュクチ語やユピックエスキモー語と似ていますね)

名詞は8つある格の1つと所有に応じて屈折する。動詞は8つある法と、主語および目的語の数と人称に応じて屈折する。名詞・動詞ともに複雑な派生形態論をもつ。他動詞節における基本的な語順は主語−目的語−動詞である。節の従属は特別な従属法 (subordinate mood) を用いることでなされる。いわゆる四人称の範疇によって、異なる主語をもつ主節と従属節とのあいだの転換指示 (switch-reference) が可能である。グリーンランド語は文法的時制の体系を欠くことで著名であり、時間的関係はふつう文脈によって、「昨日」や「今」といった時間的小辞を用いてか、ときには異なる動詞の意味論的アクチオンスアルト (aktionsart) をもつアスペクト的な意味のある派生接尾辞または接辞の組みあわせによって示される。しかし、グリーンランド語では未来時制の標識が義務的であると提案する言語学者もいる。べつの問題として、名詞の抱合があるかどうか、すなわち名詞語根を含む複雑な述語を作るプロセスが本性上派生的なのかどうかがある。

新しい概念や技術を受けいれるさい、グリーンランド語は通常新語をグリーンランド語の語根から構成するが、現代グリーンランド語はデンマーク語および英語からも多くの借用をしている。グリーンランド語は1700年代に始まったデンマークによる植民地化以来ラテン文字で書かれている。最初の正書法は1851年にサムエル・クラインシュミット (Samuel Kleinschmidt) により考案されたが、それから百年のうちに数々の音変化のために話し言葉から著しく異なってしまった。1973年に行われた広範な正書法改革によって、学習しやすくなった文字はグリーンランドの識字率の増大をもたらし、今日では世界でも最高水準となっている。

いままで出て来たユピックエスキモー語、イヌクティトゥット語などとの近さをまとめておく。


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登場人物紹介

スヴェン・イルマリネン。フィンランド・オストロボスニア生まれ。24歳で帝政ロシア軍中尉。3年間の流刑の後、27歳で言語学者ネストリ・ミクライネンの助手としてシベリアならびにアラスカ、カナダ、グリーンランドのエスキモー語の調査を行う。名狙撃手。

ネストリ・ミクライネン。フィンランド、サイマー湖畔出身の言語学者。大帝エカテリーナ(二世)の腹心、ダーシュコヴァ夫人に頼んで、スヴェン・イルマリネンを言語学フィールドワークの助手にしてもらう。年齢不詳。中年。おそらく40代。ヴァイオリンが得意。

エカテリーナ大帝(二世)。フランス革命後はロシアの自由を制限したが、農奴を自由にする法律を作った以外は、文化芸術に造詣が深い賢帝。例えば、自分の身体でワクチンを試しもした。ダーシュコヴァ夫人に、スヴェン・イルマリネンの恩赦を許した。

ダーシュコヴァ夫人。ロシアアカデミー総裁。ネストリ・ミクライネンの求めに応じて、スヴェン・イルマリネンを助手にするため、エカテリーナ大帝にスヴェンの恩赦を願い出て受け入れられる。醜女と言われているが、エカテリーナ大帝のクーデターに協力し、長く信頼関係にあった(が晩年は別れた)。

セレブロ(銀)。土星のイヌイット群衛星(本当にそういう衛星が土星にあるのです、仰天しました!)から時空を超えて地球の帝政ロシアに飛来した巨人族。女性科学者。ダーシュコヴァ夫人から依頼されて、ネストリとスヴェンのシベリア言語調査を支援する。その理由は故郷のイヌイット衛星群の名にあった。

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