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文字数 566文字



君を想うほどに愛おしい
だから僕は君に小さな嘘をつく
喉まででかかった言葉を飲み込んで
夢を語る君に思うがままにと
寄り添った言葉を伝える
傷だらけになる想像できても
泣き喚く姿が思い浮かんでも
僕は君に少しずつ嘘を重ね
僕にも偽りの気持ちを重ね
同じ言葉を送り続ける
君は僕の思い描いた未来の地雷を
傷だらけになっても突き進んできた
泣いて傷ついてボロボロになって
でもいつしか笑顔に変えて乗り越えた
その度に何も知らない他の誰かは
本当の僕が声に出して言いたいように
どうしてその道を行くのかと
知りもしないで言葉を投げかける
堪えて立ち止まればまた
言わんこっちゃないと言い放つ
そのどれもこれも大人の言葉で
正しいことの方が絶対に多い
だから誰もが真っ直ぐな目で
君が穏やかに過ごせるように
いたわりの言葉を投げかける
優しさであって手っ取り早い
可能性の芽を刈り取る慈愛
ロープで縛り付けてでも
鬼となって騙してても
僕も本当ならその言葉を
君に捧げたいしそうしてもらいたい
でもそれでも僕は
他の誰もが正しいだろう道を
指し示したとしても
また小さな嘘をつくだろう
それは君がそのことも含めて
自分で全ての可能性を
考えた上で僕に対して
話をしているから
そしてそれを僕もまた知った上で
小さな嘘をつき罪を重ねる
君と僕以外の誰かのせいにしないために
思うがままにすれば良いと
今日もまた僕は小さな嘘をつく


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