文字数 354文字



眠りたいのに
眠れない夜には
子守唄すら届かない
寝苦しいとか
目覚ましが鳴らなかったらとか
そんな些細な事に
怯えながら
今日もまた
自分の居場所へ潜り込む
洗濯されたばかりのシーツの匂い
乾いたばかりの髪の匂い
染み込んでいる僕の匂い
たくさんのものに包まれても
暗闇の中に
引き摺り込まれる
そんな瞬間に
怯えている
再び光を
見ることがないかもしれない
そんなことは
実はどうでもいい
誰しもに訪れる最期には
怯えはない
むしろ目が覚めた後
全てを忘れている
そのことの方が恐ろしい
でもそんな事も
いずれあるかもしれないなら
受け入れる
準備も少しはできている
それよりも何よりも
音のない世界が
どうにも耐えられない
自分の息づかいも
暗闇の中に
吸い込まれていく
部屋の中で
ずっと働く清浄機の音さえ
吸い込まれていく
その狭間で怯えながら
今日もまた
自分の居場所へ潜り込む
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