第21話:気候変動問題への対策

文字数 1,963文字

 ジュネーブ、2022年4月4日、本日発表された気候変動に関する政府間パネル「IPCC」の最新報告書の中で科学者達は2010~2019年の全世界の年間平均温室効果ガス排出量は人類史上最も高い水準であった。しかし、増加のペースは減速していると言われている。すべての部門において排出量を直ちにかつ大幅に削減しない限り、地球温暖化を1.5℃に抑えるのは不可能ではあると指摘された。

 それと同時に気候変動対策のエビデンスは増えている示した。2010年以降、太陽光・風力発電、蓄電池のコストは、最大85%まで持続的に低下した。政策や法制度の幅が広がることでエネルギー効率が改善し、森林破壊が減速し再生可能エネルギーの導入が加速した。「私たちは岐路に立っています。今日私たちが下す決定によって、住み続けられる未来を確保することができる。

 たちは、温暖化を抑えるために必要なツールとノウハウを持っている。私は多くの国々が気候変動対策を講じていることに勇気づけられている。政策、規制、市場機能は効果を発揮しつつある。これらの規模を拡大してより広く公平に適用すれば大幅な排出削減を支援しイノベーションを刺激することができるのです」、イ・フェソンIPCC議長はこのように語った。

 IPCC第3作業部会報告書『気候変動2022・気候変動の緩和』の政策決定者向け要約は2022年3月21日からオンラインで開かれた承認セッションにおいて、4月4日に195のIPCC加盟政府による承認を受けた。同報告書は今年完成予定であるIPCCの第6次評価報告書「AR6」の第3回分にあたる。すべての部門に2030年までに排出量を少なくとも半減させるための選択肢がある。

 地球温暖化を抑制するにはエネルギー部門における大転換が必要。それには、化石燃料利用の大幅な削減、広範囲に及ぶ電化、エネルギー効率の改善、「水素などの」代替燃料の利用が含まれる。私たちの生活様式と行動の変化を可能にするための正しい政策、インフラ、テクノロジーを導入することで2050年までに温室効果ガス排出量を40~70%削減することができる。

 これは、未着手の大きな可能性をもたらす。エビデンスによれば、こうした生活様式の変化により私たちの健康と福祉を増進することも可能です」プリヤダルシ・シュクラIPCC第3作業部会共同議長はこのように述べた。都市やその他の都市部もまた排出量削減の大きな機会を提供している。

「これは、徒歩で移動可能なコンパクトな街づくりなどによるエネルギー消費量の削減」
「低排出のエネルギー源と組み合わせた輸送手段の電化、自然を活用した炭素の回収・貯留の改善により達成できる」
「歴史ある都市、急成長を遂げている都市、そして新たな都市を対象にした選択肢がある」
「ほぼすべての気候下において、ゼロ・エネルギー・ビルやゼロ・カーボン・ビルの例がある」
「今後10年の行動が建造物による緩和の可能性を実現する上で非常に重要だ」

 こう語るのは、ジム・スキーIPCC第3作業部会共同議長。産業界で排出量を削減するには原料使用の効率化、製品の再利用とリサイクル、廃棄物の最小化が必要である。鉄鋼、建材、化学製品など一次材料については温室効果ガスの排出量が低かったりゼロであったりする生産プロセスが試験段階や商用に近い段階にある。この部門が世界の排出量の約4分の1を占める。

 排出量正味ゼロを達成することは難易度が高く新たな生産プロセス、低排出・排出量ゼロの電力、水素、そして必要に応じて炭素の回収・貯留が必要。農業、林業とその他の土地利用においては大規模な排出量削減のほか規模を拡大して二酸化炭素の除去・貯留も可能。しかし土地利用により、その他の部門における排出量削減の遅れを埋め合わせることはできない。

 対応における選択肢により、生物多様性に恩恵をもたらすことができ、気候変動への適応を支援し、生計手段、食料と水、そして木材の供給を確保することができる。そのためには次の数年間が非常に重要である。私たちが評価したシナリオでは温暖化を1.5℃前後に抑えるには世界の温室効果ガス排出量を遅くとも2025年までに減少に転じさせ2030年までに43%削減する必要がある

 同時にメタンも約3分の1削減する必要がある。これを行ったとしても一時的にこの気温の閾値を超えてしまうことは、ほぼ避けられません。しかし、今世紀末までには閾値未満に戻せる可能性がある。スキー共同議長は以下のように述べています。
「地球温暖化を1.5℃に抑えたいのであれば、今が最後のチャンス。」
「すべての部門で排出量を直ちに、かつ大幅に削減しない限り、それは不可能。」
「二酸化炭素の排出量が正味ゼロに達した時、世界の気温は安定する」
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