第3話:競馬とリクルート事件

文字数 1,550文字

 その後、和泉智則は、池泉夫妻と一緒に1988年5月22日、東京競馬場での日本ダービーを見に行くことにした。当日は、早めに逗子から京浜急行で川崎へ向かった。川崎駅で南武線に乗り換え府中本町降りて東京競馬場へ入った。競馬場で昼食を食べて、良い席を探した。やがて、15時近くになりパドックへ向かった。その後、じっくりと出走馬を眺めた。

 そして、和泉智則が9番と19番の馬が良いと言った。すると、和泉夫妻が、それぞれ9番と19番の単勝と複勝を50枚ずつ買うと言った。その時、競馬新聞を見ていた池住利信さんが9番コスモドリームが10番人気で19番マルシゲアトラスが11番人気だと驚いた。
早速、池泉夫妻が9番と19番の単勝、複勝をそれぞれ50枚「5千円」ずつ、合計200枚「2万円」買ってきた。

 席に戻ると、すぐにレースが始まり第2コーナーで9番コスモドリームが真ん中あたり、その4頭あとに19番マルシゲアトラスが走っていた。第3コーナーで9番コスモドリームが8番手、19番マルシゲアトラスが12番手に位置していた。第4コーナーで9番コスモドリームが8番手、19番マルシゲアトラスが14番手だった。そこから直線に入り各馬にムチが入った。

 すると、ものすごい勢いで9番コスモドリームが各馬の抜き去って、あっという間に先頭になった。2番手グループの中から19番マルシゲアトラスが抜け出した。しかし、コスモドリームの速さには到底及ばず、1馬身半差の2着となった。9番コスモドリームは、ぶっちぎりの優勝となった。10番人気の9番コスモドリームが1着で11番人気の19番マルシゲアトラスが2着となった。

 この大番狂わせに大勢の観客の驚きの声がとどろき、ハズレ馬券が宙を舞った。その姿はまるで雪が降っているようであった。その後、池泉夫妻は、急いで払戻所へ向かった。その結果、利益合計が17万円1千円となった。その後、逗子の家に帰り、和泉夫妻が和泉智則に半分渡すと言うと、小銭はいらないと言い8万円で結構ですと告げ8万円を手にした。

 その時、池住早苗さんが和泉智則って本当にすごいわねと笑顔で言った。7月6日、リクルートの江副浩正会長、系列企業の非公開株譲渡で辞任した。9月19日、天皇が吐血・下血、容体が急変。11月17日、東京外国為替市場で1ドル・121円52銭の戦後最高値を記録。12月9日、宮沢副総理・蔵相、リクルート疑惑の発言で辞任。12月14日には、真藤恒、NTT会長がリクルート疑惑で辞任。

 1989年が明けると1月4日東京証券市場の大発会の平均株価が3万243円66銭となった。1月7日、天皇崩御、皇太子が新天皇に即位し、閣議で新元号を「平成」と決定し公布された。2月7日、民社党の塚本三郎委員長がリクルートコスモス末公開株を譲り受けていた責任をとって辞意を表明した。2月13日、リクルート疑惑で東京地検がリクルート社前会長・江副浩正ら2人を贈賄で逮捕した。

 さらにNTT元取締役2人も収賄で逮捕した。2月24日、昭和天皇の大喪の礼に元首級55人をはじめとする164カ国、28国際機関の代表や使節が参列した。3月6日リクルート疑惑で東京地検が真藤恒NTT前会長を逮捕した。4月11日、竹下登首相が衆院予算委で1985年から1987年にかけ、リクルート社から総額1億5100万円の資金提供を受けたと公表された。

 4月25日、竹下首相が政治不信の責任をとって1989年度予算成立後に内閣総辞職する意向を表明した。5月22日、リクルート疑惑で東京地検が藤波孝生元宮喜長官「自民党を離党」と池田克也代議士「公明党を離党」を受託収賄罪で起訴した。その後、12月29日、東証平均株価が3万7915円の史上最高値をつけた。
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