第12話 仲間入り

文字数 655文字

まなみとは駅で別れ寒さに打たれながら家に向かっていた。とりあえずは僕に人生初の彼女ができ、リア充の仲間入りを果たした。しかし、心は全く充実しておらず罪悪感に満ち溢れていた。その時メールが来た。

「どうやったん?」

親友の健太からのメールだった。健太は僕がまなみと水族館に行くことや、僕の本音を知っておりどうなったのか気になっていたのだろう。

「付き合うことになったわ!大晦日デートも勝手に決まった」

「そっかあ。あってるかわからんけど、ひとまずおめでとう。お前いい人そうに見えるのに、中身はほんまにえぐいよなあ(笑)」

「あ、ありがとう。そんな事言うな笑笑
今度テクニック教えてな」

健太は高身長でイケメン、そして驚くことに初体験は中1の時に済ましており、経験人数はすでに2桁。男達の誰もが皆、彼を羨ましがっていた。僕もその中の1人で普段からあれやこれやと質問しては『それ』に対する興味を深めていった。

余談ではあるが高校1年生当時、恥ずかしがり屋の僕はゴムを買うことができず健太に買ってきてもらった。今はもうその時の僕ではないがたまに会うと未だにいじられる。

家に着き靴を脱いでいると、兄にいきなり言われた。

「お前、彼女できたやろ」

兄だけではなく妹や父、母にも同じ様なことを言われ、祝福の言葉も掛けられた。その中でも母はよっぽど僕に彼女が出来たことが嬉しかったのか、質問の嵐だった。

当然家族には僕の付き合った理由、『それ』のためとは言えず、困惑したがそれなりに質問に答えていた。
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