第17話 特別

文字数 832文字

街はすっかり年末気分だ。いつもなら営業車やトラックで混む大通りも今や閑散としている。商店街も飲食店以外は軒並みシャッターが閉じられ

年末年始はお休みさせていただきます

という張り紙もちらほらと見受けられる。高校の部活動は年末年始は休みということもあり僕は暇をしていた。それはというと普段は、週6日のテニス生活で休みの日は体力の回復に専念するというテニス中心の生活をしていた僕はこのような休みの時に何をすればいいのかわからない。

僕はとりあえずバイクの洗車をして水槽の水換えもした。夕方頃に友達から電話がかかって来て同じクラスの男達で遊ぶことになった。みんな普段は部活動に専念してるメンバーなので、このような時にしか一同揃って遊ぶことができない。大人なら居酒屋に行くのが定番だろうが僕達は高校生、男8人でファミリーレストランに行った。

今もそうだが、男達だけの集まりが一番楽しく感じるとともに少年のような純粋な心に戻れる気がする。この時もアホみたいなことをひっきりなしに話し、爆笑し、時は一瞬に過ぎていった。この日、僕とまなみが付き合ったことを知った彼らはおめでとうという言葉を言うとともに

「どっちから告白したん?」

「どこにほれたん?」

「どこまでしたん?」

「次いつ会うん?」

という質問から

「俺も彼女欲しいなあ」

「俺最近振られたわ」

「先輩にアタックされてるけど好きじゃないねんなあ」

「まなみと幸せになってな」

「早く童貞卒業したいわ」

など、彼らの気持ちや願望、現状まで聞かされた。

僕はこの時高校1年生の男達にとって恋愛や『それ』は興味深く、経験したく、重要なものであるということを認識した。しかし、僕の恋愛観は彼らとは違うということも認識した。

彼らは好きな気持ちや愛情の延長線上に『それ』があるが、僕の場合は『それ』しかない。

10年後に彼らとお酒を飲んだ時、どのような会話になるか楽しみだと当時感じていた。
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