第20話  経験不足

文字数 691文字

カウントダウンを終えた後も難波は熱気に包まれていた。飲食店は何処も満員でコンビニで缶チューハイや缶ビールを買い路上に座り込み飲んでいる者が大勢いた。驚くことに大通りで寝ている者までいた。このようなことが許されるのも大晦日しかないだろう。皆が快楽の奴隷になり程度は低いが無法地帯と化していた。

僕達はカウントダウンを終え近くの神社に向かった。例年僕は家族と昼頃に近くの神社に初詣をしており、夜から初詣をするのはこの時が初めてだった。そのため少し違和感を感じていた。

真っ暗な神社は神秘的だった。僕とまなみはお参りをした。

「何お願いしたの?」

「言ったらご利益無くなるって聞いたことあるし教えへん」

「そんなの聞いたことないよ。私は2人がずっと幸せでいれますようにって願ったよ」

そんなものあるか

「そっかあ。ありがとう」

僕達はおみくじを引き僕が大吉でまなみは中吉だった。

「今年はお互い良い1年になりそうだね!」

「ほんまやなあ」

大晦日は終日電車が運行されており深夜3時であったが、僕達は難波から帰ることができた。難波駅でまなみと別れ1人電車に乗った僕はシートに腰掛け疲労感に包まれていた。

『それ』のためとはいえ女性とデートすることは僕にはまだまだ経験不足で、毎回緊張し、重かったのだろう。デートをすることは肉体的にはそれほどであったが、精神的には疲労した。

家に着くとまなみからメールが来ていた。僕は内容は確認したが返信せず深い眠りに落ちた。

「今日はありがとう。
お互い良い1年にしようね!
今週土曜日もデートしたいなあ
予定空いてるの?」

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