39話 とりあえず悲劇の

文字数 1,206文字

まなみの目は僕を見ていたが、気持ちは泳いでいるようだった。

『もしバレてへんかったら、今晩やってたやろ?』

まなみは小さく頷いた。

『なんて返信するん?』

『どうしよう・・』

『本音はやりたいんやろ?』

僕にはまなみの本音が手に取るようにわかる。しかし、まなみは僕の目の前で返信するのをためらっている。

『貸して』

僕はまなみのスマホを手に取り、顔も知らない男に返信した。

『いいよ』

まなみは驚いていた。

『なぜ、いいよって送ったの?』

『まなみのこと好きやから本音ぐらいわかる』

(僕ってやばいな・・)

涙目だったまなみの目はさらに涙で溢れた。

『私って本当に最低・・こんないい彼氏がいるのに』

『別にいいよ、これもまなみやし』

僕はまなみを抱き寄せキスをした。まなみは泣きながら僕の首に手を回し、激しくキスをしてきた。部屋には唾液の音が響き渡る。そして、僕のお気に入りのプレイを全力でしてきた。僕は快楽に満ち溢れていた。

ピコーン

メールの返信が来た。

『いつも通りまなみの家行くわ』

(いつも通りってことは長い関係なんや・・)

『今晩会う人はどんな人なん?』

『金髪のちょっとヤンキーちっくな人・・元彼なの』

(練習試合の時に聞いたヤンキーの先輩か!)

『それって中学の時に付き合ってたヤンキーの先輩?』

『なんで知ってるの?』

『まなみの地元の友達からめっちゃ前に聞いた』

未だに関係が続いているとは相当身体の相性がいいのだろう。それとも彼のテクニックがすごいのか・・

『その人彼女おらんの?』

『居てるよ。それも私の親友・・』

『親友の彼氏を寝とるとかやばいな』

『うん・・』

『バレたら親友との縁切れるで』

『そんなのわかってる。でも『それ』が上手なの』

まさに『それ』の奴隷だ。まなみはきっと『それ』からは逃れられないだろう。その点、僕はまだ奴隷になりきっていない。いくら『それ』が上手いからといって、親友の彼女とするなんてことはできない。

僕は僕の1番好きなプレイで果てた。そして、まなみはいつも通りトイレに向かった。まなみがトイレに向かう際、一瞬スマホを持って行こうかとためらったのが僕の目に写った。

『スマホ持って行きいや』

僕の言葉にまなみはスマホを持ってトイレに向かった。

(なんて返信してるんやろ?)

僕は単純に気になったが、まなみがトイレから帰ってきても触れないでおこうと決めた。

そろそろ帰るか・・

僕は帰る支度を始めた。電気を付け、服を着て、ゴミ箱の横に落ちてるティッシュを拾い、髪をセットした。

裸のまなみがトイレから帰ってきた。

『そろそろ来るやろうし、帰るわ』

僕は高級な扉を開け快楽部屋を出た。階段の手すりの冷たさを感じつつ、下に降り玄関を出た。

寒い中、自転車で帰る僕がいた。
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