その11 ときどき自分が何をしているのかわからなくなる

文字数 1,090文字

 ぶっ続けに書いていて、脳がオーバーヒートしてきて、
(まずいこのままだと焼き切れる)
と思うことがよくある。

 うまく眠れないのがここ数年デフォルトになっている。
 寝ても三、四時間で起きてしまい、そして昼間や夕方のとんでもない時間に眠ってしまったりする。

 一度、心療内科のカウンセリングに行って睡眠障害をうったえたら、若い女性のカウンセラーさんが満面の笑みで
「夢を書きとめたりしちゃだめですよ。寝るときはしっかり寝て、脳を休ませないと」
と断言してくれた。

 そのとおりだ。
 夢を三年かけて原稿用紙六百枚も書きとめてはいけない。
 ましてそれに『夢百夜』などとタイトルをつけて、人に読んでもらったりしてはいけない。

 どうしてもそうしたいなら、心療内科にすがろうなどとは思わないことだ。

 健康のために書くのを止めたりしたら、窒息して死ぬ生き物もいる、という事実。
 メガネ美人のカウンセラーさんの慈愛と自信に満ちみちた笑顔を見つつ、私は思った。
 この人に説明してもむだだ。

 書いても死ぬ。書かなくても死ぬ。
 書けるときは狂人で、書けないときは廃人だ。
 それでいい。どうせいつかは死ぬのだから。
 とはいうものの、せめていま書きたいと思っていることを書ききってから死にたいとも思う。

 そうすると、いまここに出している量の何倍もあるので、本気で健康に気をつけて長生きしないといけない。
 いちおう入眠剤をもらってある。二月に飲んでみたらすぐ眠れるようになり、一日おきにと指導されていたのについ毎晩飲んだ。そしたら十日後、きゅうに気分が悪くなって内科クリニックに駆けこんだ。
 調べてもらったら腎臓にもうダメージが来ていた。たった十日で。ついでに肝臓にも。
(私はもともと肝臓腎臓が人と比べて弱いのです。)
 
 薬に頼ろうなどとは思わないことだ。

 ときどき自分が何をしているのかわからなくなる、というタイトルをつけてみたけれど、嘘だ。たぶん。
 自分が何をしているのかはわかっている。たぶん。
 この文章、お気づきのかたもあるだろう。一週間ほど前に「活動報告」として思いつくまま書いたメモに、少し手を入れたものだ。
 ほとんど変わらないが、少し変わっている。ほんの少し。
 これが私にとっての「書く」ということなのだと思う。

 つまり、同じ時間を、二度生き直すことだ。
 なんなら数度。
 草木染めの鍋にくりかえし布を浸して、色を重ねるようなものだ。

 だから私は、もしかしたら人と比べて長生きしないかもしれないが、そのぶん、
 同じ時間を少し濃く生きている。

 とりあえず、健康のために、ラジオ体操を始めてみようと思います。^^

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