その16 文フリ、無料やめるってよ ――文学フリマ東京の入場有料化宣言に愕然

文字数 2,022文字

文学フリマ東京37(2023/11/11)では、ご来店ありがとうございました。
予想以上に多くの方にお買い上げいただいて驚きました。
心から御礼申し上げます。

開催直前になって、ニュースレターが飛び込んできた。
来年から、文フリ東京は入場を有料化するそうだ。
2024年5月19日(日)の文フリ東京38が、1,000円。会場はいままでと同じ東京流通センター。
そして12月1日(日)の文フリ東京39が、金額は未定だがやはり有料で、
会場が東京ビッグサイトになるそうだ。

「さらなる文学の輪の拡大を目指して」
「ここまで文学フリマに参加してくださった皆さまへ〈感謝〉の気持ちをこめて」
「2024年冬、東京ビッグサイトでお待ちしております」

えー。。。。。。。。。。。

「感謝の気持ちをこめて、出血大サービス!」というのはよく聞くが、
「感謝の気持ちをこめて、今後は千円いただきます」というのは初耳だ。

もしかして、この〈感謝〉というカッコに、
何か違う意味がこめられているんだろうか。

うーん。どうしよう。
もう、文フリ東京には出られない。
(東京以外の文フリは、まだ有料化の話は出ていないようだけど。)

流通センターで千円なら、ビッグサイトは二千円か三千円になってしまうのだろう。
いや、何円だろうと、入場無料でなくなった時点で、
私のような無名の作家は、もう、人に声をかけられない。

出店料を上げてくれた方が、まだましだ。
(いまだって1ブース6,500円、椅子1つ追加で7,300円、かける2ブースとか払っているのに。)

私がお誘いのDMを出す人々は、皆さん年齢層が高めだ。
もしかして
「コミケが有料だから文フリも有料でどこが悪い」
という話なら、うちのお客様方はそんなことご存知ない。
(というか、そもそも私自身がご存知ない。)

皆さん、うちのお店を見るために、
正直、ほぼそれだけのために、
電車を乗り継いで、人混みをかきわけて、汗だくになって到着してくださる。
いままでの段階ですでに、申し訳ないと思っていた。

そんな皆さまに、
フリマ=フリーマーケットに入場するだけで千円などとは
(ましてそれ以上とは)
口が裂けても言えない。

ビッグサイトに行ける!って大喜びの人も多いのかもしれないけれど、
(というか、来場1万人からひとり千円取れたら単純計算で一千万円だから、事務局さんは嬉しいかもしれないけれど、)
正直、小さな出店者としては、スン という感じだ。
会場が混んで、行き帰りの電車が混んで、
うちのブースを素通りされる確率が高くなるだけだよね。

「文学の輪の拡大」と言うけど、それはイコール
「巨大な会場で開催すること」
なのだろうか。
どんどん規模を大きくする。○○会場の次は◎◎会場!
この「すごろく」感覚、バブルのときを思い出させられて、私などはぞっとしてしまう。
(かつての小劇場がこのとおりのメンタルだった。)

文学フリマには本当に感謝しているので、
将来、拡大路線に飽きたらまた、1日で回るのにちょうどいいくらいの規模に戻ってくれないかな、とひそかに願います。
だって「百都市構想」なんでしょう?

◇文学フリマ百都市構想 〜言葉が集まる、文化が生まれる〜
https://bunfree.net/about/100_city_plan/

「文フリ東京」一極集中でどんどんどんどん拡大する代わりに、
分割したらどうでしょうか。
「文フリ新宿」とか、「文フリ池袋」とか。
「文フリ小平」とか、「文フリ目黒不動前」とか、いや知らんけど。笑
月1とか隔月とか。とにかくちっちゃくして、かわりに回数を増やす。
そうしたら、無料のままでいけて、みんな1日で回れるし、
その日都合が悪くても、またチャンスがある。

「一箱古本市」なんて、まさにそんな感じで全国に広がっているでしょ。
そういうほうが、本当の意味で「輪を広げる」ことになりはしないのかな……。

私自身は、どうにもこうにも体調がヘタレなので、
いまはまだ、ただの妄想だけど、
例えば翻訳家の友達たちと、翻訳物に特化したミニ文フリなんかはできないかな……
なんて、夢見だしたところです。


追記:
この文章を書いた後に調べたら、「文フリ百都市構想」の規定では、
・既存開催地では、新規の開催は不可
・作品のカテゴリを限定した開催は不可
であることが判明。
このFAQに書いてあった。

Q. 既存開催地において、さらに追加で開催を実施したいのですが可能ですか?
https://bunfree.net/help/faq/faq_100city/#i-9

Q. 作品のカテゴリを限定した文学フリマを開催したいのですが、可能でしょうか?
https://bunfree.net/help/faq/faq_100city/#i-20

というわけで、私の「プチ文フリ東京・翻訳篇」の夢はあっけなく瓦解。
残念。

どうしてそんなに、巨大化したいのかなあ。
昨日の帰りのモノレールなんて地獄の沙汰だったんだけど?
死にたくなったのは私だけ?
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