ふと思い立って紙の本・Ⅰ

文字数 1,858文字

むかしむかしの、ある時ある日、

ふと思い立って、紙の本を作ってみようと思いました。


自主制作本なんか太古の、ハトロン紙青刷りホチキス留めしか知らんからね。

完全に知識ゼロ。

とりま、大型ホムセンの、「何でも印刷コーナー」みたいなんを訪ねてみた。

ほら、名刺からTシャツまで刷れる所。


本って作れますか~って。

2023/10/10 22:42
うわ! 店員さん困っただろ。
2023/10/10 22:46
うん、一瞬真顔になって、あわてて調べてくれてるの見て、

しまったここじゃなかったかと気付いたんだけれど、

まあせっかく調べてくれてるし、結果を聞いてみようと。

何だっけな、百頁の本を十冊作って七万円とか、そんな数字出してくれたっけ。

2023/10/10 22:49
畑が違うとねぇ・・
2023/10/10 22:50
反省して、当時まだあんまり使い慣れていなかったネット検索ってのをやってみた。

したらね、「自主制作本」を受け付ける印刷会社や出版社はそこそこあるのよ。

でも料金が、やっぱり十冊程度の部数だと、一冊換算にして、数千円~数万円。

2023/10/10 22:53
うんうん。
2023/10/10 22:58
おかしいでしょ?

じゃあ、現代のサークル活動してる人たちはどうやって刷ってんの?

みんな、原価がトントンになる千冊単位で刷ってんの? って。

2023/10/10 23:00
うんうん。
2023/10/10 23:01
わたしさ、首元がガバっと開いたTシャツが大嫌いで、

首元がピッチリしたTシャツを探すんだけど、ついぞ巡り会えないのよ。

でも道行く人は皆、ちゃんとピッチリしたTシャツ着てて、

何ならガバガバ首元のTシャツ着てる人なんかいないの。

2023/10/10 23:04
はいはい、話が逸れたぞ、戻してーー
2023/10/10 23:04
で、ブログの読者様がたに、適度な印刷所しりませんかって聞いてみたの。

石を投げたらサークルやった事のある人の一人や二人に、当たるんじゃないかと。


したら、サークル経験者はいなかったけれど、

検索に「オンデマンド」って文言を入れてみな、ってアドバイスをくれた人がいた。

したらね、画面が一気にばーーっと変わった。目ウロコだったよ!

2023/10/10 23:10
検索って、紙一重でガラッと変わったりするからね。
2023/10/10 23:42
今では分かる。「同人誌」って入れれば良かったのよ。


当時は同人誌の言葉の意味が、自分の中であやふやだったもんで。

ホトトギスとか、志を同じくする複数人が合同で発表するのが同人誌だと思ってたの。


一人で作る自主制作本も同人誌のククリでよかったんだね。

2023/10/10 23:48
ホトトギスが、元祖同人誌なのかな?
2023/10/10 23:58
えーーと、調べた。

最古と言われてるのが、1885年の我楽多文庫続いてホトトギスとか白樺とか。

元々は「同好の士が寄って作った文芸誌」なんだけれど、

現代は、まったく別の意味に使う人もたまにいるから、齟齬が起こったりする。

2023/10/11 00:01
「薄い本」って言葉作ってくれた人はMVPよ。
2023/10/11 00:01
脱線させてごめん、話を戻して下さい。
2023/10/11 00:07
はぁい。

そしてついに、ひとつの印刷屋さんに出会ったのでした。


古くからある街の印刷屋さんで、

最近オンデマンドを取り入れて、少数部数の冊子部門も新設しました、って所。

選んだ理由は、うちからめっちゃ近かったから。

2023/10/11 00:07
それが運命の出会いだったんだね。
2023/10/11 00:17
うん!

原稿のテンプレートの作り方から、PDFへの変換の仕方、カラー原稿のイロハとか、

表1・4の作り方とか、そこでミッチリ教えて貰った。

電話一本入れていたとはいえ、突然訪ねて行ったショボ柿に、マンツーマンで。

2023/10/11 00:22
大恩ある所だね。
2023/10/11 00:08

価格も、これでいいの? ってくらいリーズナブルだったのよ。

二百頁の本を十部作って一万円切ったり。

2023/10/11 00:25
大丈夫かよ。
2023/10/11 00:26
あんまり大丈夫じゃなかったみたい。

結局そこは、二年ぐらい・・

うちは本を4冊作った所で、少部数冊子事業はやめちゃった。

2023/10/11 00:28
あらら。
2023/10/11 00:29
元々、チラシやパンフレットがメインの街の印刷屋さんだったからなあ。

部門を立ち上げた社員さんは、やる気に燃えてた感じだったんだけど・・

ある日残念そうに、

部門廃止する事になったんだ、自分も他の会社行く事になったんだ、って。

2023/10/11 00:33
う・あ・あ・あ・あ・・・
2023/10/11 00:34

会社にしたら、それこそ薄い本を数百冊単位で

コンスタントに注文するサークルさんにドシドシ来て貰いたかったんだろうな。

2023/10/11 00:42
まあ、そうなんだろうけど。
2023/10/11 00:43
でも二か月ほどして、その会社から、

少部数の冊子部門を新たに立ち上げたから、宜しくお願いします、って

メールが来た。担当は知らない社員さんだった。

2023/10/11 00:45
ふうん、まあよかったんじゃない?
2023/10/13 20:31
ううん、でも、もうそこには行かない・・っていうか、行けなくなった。
2023/10/13 20:32
なんで?
2023/10/13 20:33
本当に自分が発注していいの? って怖くなった。

自分がその会社にとって、本当に歓迎する客だったのか? って。

前回、会社の中で何が起こって何がどうなったのか、分かんなかったから。


大恩あって思い入れのある会社だから、余計に。

2023/10/13 20:37
ふーーむ。
2023/10/13 20:41
モヤモヤしつつ次回へーー
2023/10/13 21:58
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

柿ただちゃん: 作者の代弁者。 渋柿の木の妖精。

妖精だけれど、人間の文化大好きで、俗物にまみれている。ポシェットの中は飴ちゃん。

だいちゃん: 解説とツッコミ担当。 謎の生き物。

とりあえず流れに逆らわない。

風すっか: たまに時空を超えて突っ込んで来る、新潟寺泊の風の妖精。

本気で飛ぶと、何かにぶつかるまで止まれない。好物は寒ブリ。

道祖神ちゃんA

道祖神ちゃんB

道祖神ちゃんB”

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色