ふと思い立って紙の本・Ⅰ
文字数 1,858文字
ふと思い立って、紙の本を作ってみようと思いました。
自主制作本なんか太古の、ハトロン紙青刷りホチキス留めしか知らんからね。
完全に知識ゼロ。
とりま、大型ホムセンの、「何でも印刷コーナー」みたいなんを訪ねてみた。
ほら、名刺からTシャツまで刷れる所。
本って作れますか~って。
しまったここじゃなかったかと気付いたんだけれど、
まあせっかく調べてくれてるし、結果を聞いてみようと。
何だっけな、百頁の本を十冊作って七万円とか、そんな数字出してくれたっけ。
したらね、「自主制作本」を受け付ける印刷会社や出版社はそこそこあるのよ。
でも料金が、やっぱり十冊程度の部数だと、一冊換算にして、数千円~数万円。
首元がピッチリしたTシャツを探すんだけど、ついぞ巡り会えないのよ。
でも道行く人は皆、ちゃんとピッチリしたTシャツ着てて、
何ならガバガバ首元のTシャツ着てる人なんかいないの。
石を投げたらサークルやった事のある人の一人や二人に、当たるんじゃないかと。
したら、サークル経験者はいなかったけれど、
検索に「オンデマンド」って文言を入れてみな、ってアドバイスをくれた人がいた。
したらね、画面が一気にばーーっと変わった。目ウロコだったよ!
当時は同人誌の言葉の意味が、自分の中であやふやだったもんで。
ホトトギスとか、志を同じくする複数人が合同で発表するのが同人誌だと思ってたの。
一人で作る自主制作本も同人誌のククリでよかったんだね。
最古と言われてるのが、1885年の我楽多文庫。続いてホトトギスとか白樺とか。
元々は「同好の士が寄って作った文芸誌」なんだけれど、
現代は、まったく別の意味に使う人もたまにいるから、齟齬が起こったりする。
そしてついに、ひとつの印刷屋さんに出会ったのでした。
古くからある街の印刷屋さんで、
最近オンデマンドを取り入れて、少数部数の冊子部門も新設しました、って所。
選んだ理由は、うちからめっちゃ近かったから。
原稿のテンプレートの作り方から、PDFへの変換の仕方、カラー原稿のイロハとか、
表1・4の作り方とか、そこでミッチリ教えて貰った。
電話一本入れていたとはいえ、突然訪ねて行ったショボ柿に、マンツーマンで。
部門を立ち上げた社員さんは、やる気に燃えてた感じだったんだけど・・
ある日残念そうに、
部門廃止する事になったんだ、自分も他の会社行く事になったんだ、って。
自分がその会社にとって、本当に歓迎する客だったのか? って。
前回、会社の中で何が起こって何がどうなったのか、分かんなかったから。
大恩あって思い入れのある会社だから、余計に。
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