第36話 壊れたーー! 新しいの買えやーーー!

文字数 1,383文字

「壊れたーー! 新しいの買えやーーー!」

私が昼食のサラダを作っていると妻が叫んでいた。

“バンバンバンバン”

そして、妻は叩いている。
叩けば電化製品は直ると思っているのだ。

この時、うちの妻はキーボード(楽器の方)を弾いていた。
そのキーボードは前にACアダプターを指すところに何かをぶつけてしまい、接触が良くなかった。

「角度を調整すれば電源が入る!」と言いながら、プラグを差し込んだ後、紙を挟んで接触を良くする。
こうしながら、騙し騙しキーボードを使っていた。

「もー限界やー! 電源入るまでに時間が掛かり過ぎる!」

イライラした妻は、キーボードを叩く。
叩けばキーボードは直ると思っているのだ。

これを数カ月繰り返していたところ、ある日、キーボードの電源が入らなくなった。

「壊れたーー! 新しいの買えやーーー!」

妻はYAMAHAの電子ピアノに買い替えたい。
だから、キーボードが壊れたことを私にアピールしているのだ。

しかたなく、私はドライバーを使ってキーボードを開けた。

――えぇっ、こんなんで音鳴るんや……

開封すると、キーボードは鍵盤と基盤が付いているだけの単純な構造をしていた。

※こんな感じの基盤です。




よく見ると電源が基盤から外れていた。
度重なる妻の攻撃(バンバン叩く行為)によって、ハンダが剝がれていた。

――あれだけ叩いたら……外れるよな

私はハンダゴテ(半田ごて)とハンダを持ってきて、基盤から外れた電源プラグを接着した。
そして、電源を入れた。

“ドーーレーーミーー”

「直ったでーーー!」

妻の方を見たら、悔しそうな顔をしていた。
電子ピアノに買い替えられなくて悔しいのだ。

「直せるんやったら、さっさと直せやーーー!」

なぜか私にキレる妻。

「そんなん言われても、どういう構造か知らんかったし」
「電源入れるのにどれだけ苦労したと思ってんねん! 何カ月もアンタは、私のことを笑とったんやろーー!」

完全に言いがかりである。

それにしても、なぜ女性は物にあたるのだろうか?

叩いても電化製品が直るわけもないのに……謎である。


***


さて、YouTubeに話を移そう。

私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。

最近はもっぱら漢字クイズを投稿している。
いつもクイズを考えている妻は、いい問題を見つけたら私に出題する。
私が答えられるかどうかで難易度を判定しようとしているのだ。

「冬将軍って誰のことか知ってる?」
「冬将軍って人なん?」
「違う! ある人が遠征して冬将軍に遭って帰ってきてん」

――ぜんぜん分からん……

「ヒントは?」
「吾輩の辞書に、不可能の文字はない」
「あー、ナポレオンかー。ロシア遠征やなー」

ちなみに、正しくはこういうことだ。

1812年、ナポレオンはロシア遠征中に厳しい寒さと雪に苦しめられ、撤退を余儀なくされました。この敗北を、イギリスの新聞は「ナポレオンは"General Frost"(厳寒将軍)に敗北した」と報じたと言われています。
この表現が日本に伝わり「冬将軍」と訳され、今日まで使われて続けています。

出所:Yahoo!天気

書道とは関係ない雑学を毎日学習する自称ユーチューバー。

クイズ大会にでも出るのだろうか?

我が家の戦いは今日も続く。

<つづく>
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