第29話 ちゃんと撮れやーーーー!!
文字数 1,848文字
「ちゃんと撮れやーーーー!!」
妻が私に怒鳴っている。
この時、私は満開の桜をバックに妻の写真を撮っていた。
もう何回目か分からない。
うちの近くには川沿いに桜並木がある。
家の近くには数千本の桜が咲いているから、毎日その桜を見ながら歩いていた。
「うん……」と言いながら私にスマホを渡す。
いつものことだから「写真撮ってくれ」とか言わない。
妻がポーズをとる。そして、私は写真アプリのボタンを押す。
“カシャ カシャ カシャ”
目をつぶってたりするから、私はいつも3~4枚撮るようにしている。
私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。
「目ぇ、つぶっとるなー。はい、削除」
「これ、皺が目立つなー。はい、削除」
「これ、オバチャンぽい。はい、削除」
こうして、私の撮影した写真は全て削除された。
私と妻は川沿いと歩いていく。
また妻が私にスマホを渡した。
私は写真アプリのボタンを押した。
“カシャ カシャ カシャ”
私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。
「他人が入っとる。はい、削除」
「これも、他人が入っとる」
「ちゃんと撮れやーーーー!!」
これは私が悪かったかもしれない。
妻は怒りながら写真を削除した。
怒られながらも、私は妻と川沿いと歩いていく。
また妻が私にスマホを渡した。いろいろ注文を付けてくる。
「20代に見えるように撮れやーー!」
無理である。自分の年齢を考えてほしい。
「奇跡の一枚を撮れやーーー!」
無理である。滅多に起きないから奇跡というのだ。
“カシャ カシャ カシャ”
私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。
今度は私に質問してきた。
「20代に見える?」
「さすがに20代は難しいんとちゃうかな」
「じゃあ、30代に見える?」
この流れで「40代」と言うと良くない。
私はこの辺(30代)が落としどころだと考え「見えるでー」と答えた。
「30代前半?」
「前半……うーん、後半じゃない?」
妻は不満そうだ。しかたない、卑怯な私は間を取った。
「強いて言えば、35やな」
奇跡の一枚を撮影するために、私は今日も妻の写真を撮るのであった……。
***
さて、YouTubeに話を移そう。
私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。
2月から再生回数が低迷している書道チューバーたちが迷走している。
我が家の自称ユーチューバーも同じく迷走している。
「クイズにしたらええんとちゃう?」と妻が言った。
その時、魚編の漢字をYouTubeに投稿していた。漢字クイズだ。
皆さんはいくつ分るだろうか?
鯏(ア〇〇) 魚ではなく貝
鯆(イ〇〇) 魚ではなく哺乳類
鰍(カ〇〇) サンマっぽいけど、サンマじゃない
鯔(ト〇) アシカに似ている方ではなく、ボラが出世したもの。「ボラ」「イナ」とも読みます
鯳(ス〇〇〇ダラ) タラの一種
※答えは検索して下さい。
「どういう意味? もう、クイズにしてるやん?」と妻に尋ねた。
「書道動画ってなー、書いてるところ見てても飽きるやん?」と言う妻。
言いたいことは分かる。
誰か知らない人が字を書いているところを見ても、あまり面白くない。
でも、それを言いだしたら、書道動画である必要性がない。
つまり、妻のこの発言は自ら(書道チューバー)の存在意義を否定しているのだ。
とはいうものの、書道動画を投稿し続けている私も飽きていた。
「クイズやったら、簡単なのを出してもしかたない。難しい方がいいなー」と私。
「例えば?」
「そーやな……『世界で一番高い山はエベレストですが、二番目は?』とか」
「じゃあ、『日本で一番高い山は富士山ですが、二番目は?』」
「おー、ええやん。そんな感じやな」
こうして、難しめのクイズを書道動画に入れ込むことにした我が家。
皆さんは分かりますか?
問題:世界で一番高い山はエベレストですが、二番目は?
ヒント:(ゴ〇〇〇〇〇〇〇チン)
概要:中国・インド・パキスタンをまたいだカラコルム山脈にある山。標高は8,611m。
問題:日本で一番高い山は富士山ですが、二番目は?
ヒント:(〇岳)
概要:山梨県にあります。標高は3,193m。
問題:日本で一番長い川は信濃川ですが、二番目に長い川は?
ヒント: (利〇〇)
概要:関東方面に流れてくる川。長さは322km。
問題:世界で一番高いビルは?
ヒント:(ブ〇〇〇〇〇ファ)
概要:ドバイにあるアレです。高さは828m。
※答えは検索して下さい。
我が家の迷走は続くのであった。
<つづく>
妻が私に怒鳴っている。
この時、私は満開の桜をバックに妻の写真を撮っていた。
もう何回目か分からない。
うちの近くには川沿いに桜並木がある。
家の近くには数千本の桜が咲いているから、毎日その桜を見ながら歩いていた。
「うん……」と言いながら私にスマホを渡す。
いつものことだから「写真撮ってくれ」とか言わない。
妻がポーズをとる。そして、私は写真アプリのボタンを押す。
“カシャ カシャ カシャ”
目をつぶってたりするから、私はいつも3~4枚撮るようにしている。
私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。
「目ぇ、つぶっとるなー。はい、削除」
「これ、皺が目立つなー。はい、削除」
「これ、オバチャンぽい。はい、削除」
こうして、私の撮影した写真は全て削除された。
私と妻は川沿いと歩いていく。
また妻が私にスマホを渡した。
私は写真アプリのボタンを押した。
“カシャ カシャ カシャ”
私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。
「他人が入っとる。はい、削除」
「これも、他人が入っとる」
「ちゃんと撮れやーーーー!!」
これは私が悪かったかもしれない。
妻は怒りながら写真を削除した。
怒られながらも、私は妻と川沿いと歩いていく。
また妻が私にスマホを渡した。いろいろ注文を付けてくる。
「20代に見えるように撮れやーー!」
無理である。自分の年齢を考えてほしい。
「奇跡の一枚を撮れやーーー!」
無理である。滅多に起きないから奇跡というのだ。
“カシャ カシャ カシャ”
私からスマホを受取り、写真をチェックする妻。
今度は私に質問してきた。
「20代に見える?」
「さすがに20代は難しいんとちゃうかな」
「じゃあ、30代に見える?」
この流れで「40代」と言うと良くない。
私はこの辺(30代)が落としどころだと考え「見えるでー」と答えた。
「30代前半?」
「前半……うーん、後半じゃない?」
妻は不満そうだ。しかたない、卑怯な私は間を取った。
「強いて言えば、35やな」
奇跡の一枚を撮影するために、私は今日も妻の写真を撮るのであった……。
***
さて、YouTubeに話を移そう。
私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。
2月から再生回数が低迷している書道チューバーたちが迷走している。
我が家の自称ユーチューバーも同じく迷走している。
「クイズにしたらええんとちゃう?」と妻が言った。
その時、魚編の漢字をYouTubeに投稿していた。漢字クイズだ。
皆さんはいくつ分るだろうか?
鯏(ア〇〇) 魚ではなく貝
鯆(イ〇〇) 魚ではなく哺乳類
鰍(カ〇〇) サンマっぽいけど、サンマじゃない
鯔(ト〇) アシカに似ている方ではなく、ボラが出世したもの。「ボラ」「イナ」とも読みます
鯳(ス〇〇〇ダラ) タラの一種
※答えは検索して下さい。
「どういう意味? もう、クイズにしてるやん?」と妻に尋ねた。
「書道動画ってなー、書いてるところ見てても飽きるやん?」と言う妻。
言いたいことは分かる。
誰か知らない人が字を書いているところを見ても、あまり面白くない。
でも、それを言いだしたら、書道動画である必要性がない。
つまり、妻のこの発言は自ら(書道チューバー)の存在意義を否定しているのだ。
とはいうものの、書道動画を投稿し続けている私も飽きていた。
「クイズやったら、簡単なのを出してもしかたない。難しい方がいいなー」と私。
「例えば?」
「そーやな……『世界で一番高い山はエベレストですが、二番目は?』とか」
「じゃあ、『日本で一番高い山は富士山ですが、二番目は?』」
「おー、ええやん。そんな感じやな」
こうして、難しめのクイズを書道動画に入れ込むことにした我が家。
皆さんは分かりますか?
問題:世界で一番高い山はエベレストですが、二番目は?
ヒント:(ゴ〇〇〇〇〇〇〇チン)
概要:中国・インド・パキスタンをまたいだカラコルム山脈にある山。標高は8,611m。
問題:日本で一番高い山は富士山ですが、二番目は?
ヒント:(〇岳)
概要:山梨県にあります。標高は3,193m。
問題:日本で一番長い川は信濃川ですが、二番目に長い川は?
ヒント: (利〇〇)
概要:関東方面に流れてくる川。長さは322km。
問題:世界で一番高いビルは?
ヒント:(ブ〇〇〇〇〇ファ)
概要:ドバイにあるアレです。高さは828m。
※答えは検索して下さい。
我が家の迷走は続くのであった。
<つづく>