第31話 ブリンバンバン、ブリンバンバン
文字数 1,642文字
「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
妻が歌っている。
「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
そのとき私はこう思っている。
――「ボーン」つけろやーーー!!
みなさん、何のことか分かるだろう。
有名な歌のサビだ。
Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born
しかたないから、私はせめてもの抵抗をする。
妻:「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
私:「ボーン」
妻:「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
私:「ボーン」
しつこく「ボーン」を言わない妻。
私は説明することにした。
「なあ、それ、最後に『ボーン』て付くねん。知ってる?」
「そんなん、知らんわ。何情報?」
私に指摘されてイラっとする妻。
口で説明するよりも、実際に歌を聞かせた方がいい。
私はプレイリストを再生した。
「ほら、もうすぐ来るで」
『Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born』
「ほらな、最後に『ボーン』て言うてるやろ?」
「そんなん、言うてないで。あんたの空耳やろ」
絶対に「ボーン」が聞こえているはずなのに、間違いを認めたくない妻。
こうなったら、文字で見せよう。
私はスマホに表示されている歌詞を妻に見せた。
『Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born』
「ほらな?」
「『born』て書いてるだけで、言うてないかもしらんやろ。それ、絶対にサイレント『born』やわ」
――サイレント『born』ってなんやねん?
Climbのmを発音しないみたいなもんか?
それとも、X JAPANのサイレントジェラシーみたいなことなのか?
妻は自論を展開しはじめた。
「例えば、『international』ってあるやん。あれ、アメリカ人が言ったら?」と逆に私に質問する妻。
「イナナショナル」
※アメリカ人はtを発音しません。
「『internet』をアメリカ人が言ったら?」
「イナネット」
※同じくアメリカ人はtを発音しません。
「じゃあ、『bling-bang-bang-born』をアメリカ人が言ったら?」
ほー、そう来ましたか。
「bling-bang-bang-bornや!」
「違うわー。あれはサイレント『born』やから『bling-bang-bang』やねん」
「噓つけーーー!」
うちの妻は強情である。
私の言うことは何一つ聞かない。
***
さて、YouTubeに話を移そう。
私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。
2月に再生回数が落ちてから、我が家はTikTokを始めた。
TikTokはバズらないものの、安定的に再生回数が1,000回くらい稼げる。
そして、TikTokは投稿する時に流行りの音楽を挿入することができる。
だから、妻は動画に『Bling-Bang-Bang-Born』を入れようとして、流れてくる音楽を歌っていたのだ。
TikTokを投稿していると毎日フォロワーが増えていく。
しかし、我が家のフォロワーはほぼ詐欺アカウントだ。
メッセージボックスには『一人で寂しいです。私とセックスしてくれませんか?』というメッセージが1日に数十件届く。X(旧Twitter)のフォロワーも同じような感じ。
フォロワーの9割が詐欺アカウント。
もし、TikTokを普通に使っていたら、詐欺メッセージに混ざって、友人からのメッセージも届くはずだ。
若い子はメッセージをチェックしているのだろうか?
そこまでして、繋がりが必要なのだろうか?
オジサンとしては不思議でしかたがない。
というわけで、うちの自称ユーチューバーは自称ティックトッカ―としても活動していくのであった。
<つづく>
妻が歌っている。
「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
そのとき私はこう思っている。
――「ボーン」つけろやーーー!!
みなさん、何のことか分かるだろう。
有名な歌のサビだ。
Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born
しかたないから、私はせめてもの抵抗をする。
妻:「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
私:「ボーン」
妻:「ブリンバンバン、ブリンバンバン、ブリンバンバン」
私:「ボーン」
しつこく「ボーン」を言わない妻。
私は説明することにした。
「なあ、それ、最後に『ボーン』て付くねん。知ってる?」
「そんなん、知らんわ。何情報?」
私に指摘されてイラっとする妻。
口で説明するよりも、実際に歌を聞かせた方がいい。
私はプレイリストを再生した。
「ほら、もうすぐ来るで」
『Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born』
「ほらな、最後に『ボーン』て言うてるやろ?」
「そんなん、言うてないで。あんたの空耳やろ」
絶対に「ボーン」が聞こえているはずなのに、間違いを認めたくない妻。
こうなったら、文字で見せよう。
私はスマホに表示されている歌詞を妻に見せた。
『Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born』
「ほらな?」
「『born』て書いてるだけで、言うてないかもしらんやろ。それ、絶対にサイレント『born』やわ」
――サイレント『born』ってなんやねん?
Climbのmを発音しないみたいなもんか?
それとも、X JAPANのサイレントジェラシーみたいなことなのか?
妻は自論を展開しはじめた。
「例えば、『international』ってあるやん。あれ、アメリカ人が言ったら?」と逆に私に質問する妻。
「イナナショナル」
※アメリカ人はtを発音しません。
「『internet』をアメリカ人が言ったら?」
「イナネット」
※同じくアメリカ人はtを発音しません。
「じゃあ、『bling-bang-bang-born』をアメリカ人が言ったら?」
ほー、そう来ましたか。
「bling-bang-bang-bornや!」
「違うわー。あれはサイレント『born』やから『bling-bang-bang』やねん」
「噓つけーーー!」
うちの妻は強情である。
私の言うことは何一つ聞かない。
***
さて、YouTubeに話を移そう。
私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。
2月に再生回数が落ちてから、我が家はTikTokを始めた。
TikTokはバズらないものの、安定的に再生回数が1,000回くらい稼げる。
そして、TikTokは投稿する時に流行りの音楽を挿入することができる。
だから、妻は動画に『Bling-Bang-Bang-Born』を入れようとして、流れてくる音楽を歌っていたのだ。
TikTokを投稿していると毎日フォロワーが増えていく。
しかし、我が家のフォロワーはほぼ詐欺アカウントだ。
メッセージボックスには『一人で寂しいです。私とセックスしてくれませんか?』というメッセージが1日に数十件届く。X(旧Twitter)のフォロワーも同じような感じ。
フォロワーの9割が詐欺アカウント。
もし、TikTokを普通に使っていたら、詐欺メッセージに混ざって、友人からのメッセージも届くはずだ。
若い子はメッセージをチェックしているのだろうか?
そこまでして、繋がりが必要なのだろうか?
オジサンとしては不思議でしかたがない。
というわけで、うちの自称ユーチューバーは自称ティックトッカ―としても活動していくのであった。
<つづく>