第20話 お前の新年の抱負を決めてやろうか?

文字数 2,068文字

2024年元旦。私と妻は靖国神社に参拝していた。

私は右寄りではないのだが、確かにそういう人たちもたくさんいる。
靖国神社は祈願参拝の価格がリーズナブル、そして他の神社よりも空いている。
そういう理由からここ10年くらい毎年行っている。

年始の祈願参拝が終わって、妻はおみくじを引きに行った。
ちなみに、私はおみくじを引かない。大吉が出るまで引き続けるので、お金の無駄だからだ。
妻は運勢を占うことを重視しているから1回しか引かない。

妻は「吉かー」と言いながら私のところにやってきた。
去年は大吉だったから、「去年も良いことなかったけど、今年もなさそうやなー」とショックを受けている。

「そんな気にせんでもええやん。凶やなかったら、ええんとちゃう?」
「まあ、そういうことに……しとこか」

気を取り直した妻は私に質問した。

「新年の抱負は?」

なんて懐かしいフレーズなんでしょう……何十年も考えたことないです。
とはいえ、私は思い付いたことを言った。

「今年、アメリカの大統領選あるやん?」
「あるな」
「トランプが勝ったら株式市場がクラッシュすると思うねん」
「かもな」
「それに備えて、大統領選の前に空売りして……結果が出た後に買い戻す!」
「それ、抱負ちゃうやろ!」

私の新年の抱負にいちゃもんを付ける妻。しかし、私も引くわけにいかない。

「立派な抱負やろ?」
「金儲け以外でや! 他にない?」

金儲け以外の抱負と言われても……なかなか思い付かない。
そんな私を見た妻は半笑いで言った。

「無いんやったら、新年の抱負を決めてやろうか?」

余計なお世話である。

「勝手に人の抱負を決めるんか?」
「そやで。まず、一つ目。笑顔を完璧にマスターする!」
「最近、トレーニングしてるやん」

これは嘘ではない。私は1年ほど前から笑顔の練習をしている。

オジサンになると表情が固くなってしまう。怒っていなくてもそう見える場合があるのだ。

顔の表情は筋肉で作られている。だから、顔の筋肉が衰えると、顔の表情が作りにくくなる。加齢とともに無表情になっていくのは、顔の筋肉の衰えからだ。
つまり、笑顔を作るためには顔の表情筋を鍛えないといけない。例えば、口角を上げるためには、口の周りを上げるために頬の筋肉を鍛える。
要は、顔面筋トレである。

ここ1年、私は表情筋トレーニング(顔面筋トレ)を日々欠かしていない。

表情筋トレーニング(顔面筋トレ)を始めるきっかけは妻が描いた私の似顔絵だった。
ラップトップで仕事をしていた私の前で、妻が何かしていた。

「何してるん?」と私は妻に尋ねた。

「似顔絵書いてんねん」
「誰の?」
「あんたやろ!」
「へー」
「ほら、できた!」

妻が紙を差し出した。すると、しかめっ面のオジサンが出てきた。
紙が汚れてしまっているのだが、一応、実物を掲載しておこう。これだ。



※不快に感じる方がいたら、大変申し訳ないと思います。

「オジサンになると、今までの人生が顔に出るんや。ブスーっとして生活してるやろ。だから、こんな偏屈なオジサンが出来上がったわけやー」と妻は嬉しそうに私に言う。

いや、ちょっと待て……ここまで酷くないはずだ。

「下向いてたからやろ? そんなわけない」
「本当にそう思う? そっくりやで。笑顔のトレーニング、しなあかんなー」

妻はニヤニヤしている。

この日から私は表情筋を鍛えるためのトレーニングを始めた。
この絵は、こうならないための自分への戒めだ。

約1年のトレーニングの成果から、少しずつだが笑顔が作れるようになってきたと思う。
あと、もう少しだ!

もし、顔の表情が無くなってきたと感じたら、顔の表情筋のトレーニングをしてみてはどうだろうか?

***


さて、話をYouTubeに移そう。

私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。

他の習字動画を見ていた妻が言った。

「やっぱ、音楽やなー。音楽変えたら、再生回数増えるんちゃう?」

前にも書いたのだが、私はSurfaceに付いている動画編集ソフトを使っている。
音源を探すのが面倒だから、そこに入っている音楽を適当にバックミュージックにして書道動画を作っていた。
でも、動画編集ソフトでフリーになっていても、YouTubeのチェックでたまにライセンスエラーの警告が出てくる。

――YouTubeでライセンスエラーにならない音源はないものか……

面倒だと思いながらネットで検索して探していくと、サブスクリプションの楽曲使用などが大量に出てくる。

うちの自称ユーチューバーは1円も稼いでいない。なのに、有料の音楽サービスを利用する……これはやってはいけないことだ。

探していくとちょうどいいものがあった。

その名も「Audio Library」。
YouTube Studioに入っている。

灯台元暗しというのだろうか……まさかYouTubeにフリーの音源があったとは。

有名な曲は入っていないけど、しばらく使ってみようと思う。

我が家の戦いは今日も続くのであった。

<続く>
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