第34話 こんなところ、こんかったら良かったわーー!

文字数 1,246文字

「こんなところ、こんかったら良かったわーー!」

後ろから女性の声が聞こえた。
妻の声ではない。どこの誰か知らない女性の声だ。

このとき私は長野県にある戸隠神社「宝光社」の階段を登っていた。

誘ったけど妻は来なかった。
「神社に動物いーひんやろ。興味ないわー」とのことだ。

さて、戸隠神社は五社ある。
私は「宝光社」→「火之御子社」→「中社」→「九頭龍社」→「奥社」の順番に歩いて参拝していた。位置関係を示すとこんな感じだ。




私は車を運転しないから長野駅からバスに揺られて戸隠神社「宝光社」までやってきた。

同じバス停で女性2人組(多分、親子だと思う)が降りた。
一人は私よりも少し年上、一人は私よりも少し年下の女性二人組だ。

入口を抜けると社殿まで続く階段がそびえていた。こんな階段だ。




先に私が階段を登っていたら、女性二人組も階段を登り始めた。

後ろから声が聞こえた。関西弁だった。関西から親子で旅行にきたのだろう。

「しんどいわー」
「もう無理!」
「足パンパンやー」

声が徐々に小さくなっているから、二人は疲れて階段の途中で止まっていたと思う。
少ししたら、声が大きくなった。

「アンタが行くっていうから、来たんやろ?」
「アンタも行くって言ったやろ? 人のせいにすんなやー」
「もういい! 私はここで待っとくから、アンタだけ登ったらいいやん!」
「なんで私だけ登らなあかんの?」
「こんなところ、こんかったら良かったわーー!」

社殿までの階段を登るのが嫌で、喧嘩が始まった。
親子で来ると、こういうことになる。

うちの妻は来ていなかったけど、一緒に来たら同じようなことを言ったと思う。

あれは妻と高尾山に行ったときのことだ。

「疲れたー! 後ろから押してくれー!」

10分くらい坂を登ったら妻はゴネ始めた。
私はこういう時、餌で釣ることにしている。

「上まで登ったらソフトクリーム買ったるわ」

大体これで妻の機嫌は直る。
ふと横を見ると、親子連れが歩いていた。

「もー、無理! おんぶしてーー!」と子供が父親にせがむ。

「もう少しだけ頑張ろ! 上に行ったら、ソフトクリーム買ってあげるから」

父親が子供に言うセリフが、私が妻に言うセリフと同じだった。

ゴネた女性は、子供と同じなんだよな……


***


さて、YouTubeに話を移そう。

私の妻は書道動画をYouTubeに投稿している自称ユーチューバーだ。そして、私は妻のアシスタントとして、妻の書く動画を撮影、編集、YouTubeに投稿している。

最近はもっぱら漢字クイズを投稿している。
かなり数をかせげた魚編は、全部書いてしまった。
だから、妻はクイズのネタを探している。

妻が最近目を付けたのが同じ漢字を繰り返しするものだ。皆さんは知っているだろうか。

区区:まちまち
態態:わざわざ
滴滴:たらたら
※中国の配車アプリ(DiDi)ではない

漢字は奥が深い。そして、数が多い。
当分、ネタには困らない。

書道チューバーとして大成することを望みながらも、クイズ動画を配信し続ける我が家。
我が家の戦いは今日も続くのであった。


<つづく>
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