屋敷の探検

文字数 1,085文字

「それで、こんな大人数になったのか」
 クロードとミシュナ、そしてアルベルが屋敷に来ることをルルドはエリスに伝えた。
 エリスは頭を抱えながら
「リアさんも、来る予定になっているが」
 ややこしいことにならないといいが、と続けた。
「こういうのは、人数集めて早めに済ませた方がいいですよ。この屋敷に来ても何も見つけられなかった、しょうがないねー。そんな感じで簡単に終わらせます」
「……君の内心が黒く見えるのは、気のせいだろうか」
 エリスは溜息をついた。
 そして、週末。
「こんにちはー」
「お邪魔します」
クロードとミシュナに続いて
「……どうも」
 素っ気ないアルベル。
 小さな溜息をつきながら、エリスが言う。
「先生が、気付いてないだけかもしれないぜ」
 クロードが腰に手をあてながら言った。
 ミシュナは周りの様子を見ながら
「こんなに、部屋があったら掃除も大変ですよね」
 すごい装飾の壁ね、と続ける。
「部屋の掃除は、ルルドに任せてある。屋敷の案内なら、彼が適任だろう」
「あらあら、ずいぶん大人数ですわね」
 後から入って来たリアが、生徒たちの姿を見て言った。
「すみません、いつの間にか増えてしまって」
 エリスが申し訳なさそうな表情をする。
「人数がいた方が楽しいですわ。ミストルティンでシフォンケーキを購入しましたが、足りるといいけど……」
「ミストルティンのシフォンケーキ!」
 ミシュナが目を輝かせる。
「そんなに有名なのか?」
 エリスが聞くと
「有名なホテルに勤めていたパティシエが作ってるの。一度でいいから食べてみたいと思っていたけど、すぐに完売して」
 ミシュナが説明をした。
 リアは穏やかに微笑む。
「朝から、並んで良かったですわ」
「そ、そんな貴重なものを」
 感謝する、とエリスはリアに頭を下げる。
「大げさですわよ。美味しいものは、皆で食べましょう」
「では、紅茶を用意しましょう」
 ルルドがティーカップをテーブルに並べる。
「えー、お菓子より探検だろ」
 クロードが不満を漏らす。
 ミシュナは頬を膨らませながら
「男には、お菓子の楽しみが分からないのよ」
「ここで、喧嘩はやめてくれ」
 エリスが溜息をつく。
 ルルドはエリスに視線を向け
「ここは、エリス様にお任せします。僕が、探検に付き合いましょう」
 その方が効率いいでしょう、と続ける。
「さっすが、話しが分かるぜ」
 クロードがルルドの肩を叩いた。
「なら、私たちはしばらく食堂に居る」
 ルルドの提案にエリスは頷く。
「何かあったら、声を掛けてくれ」

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