2023年12月17日(日) 趣味の関門 ①②③④⑤……

文字数 3,594文字

四畳半で最後に手を付けることになる、押し入れ下段の残り半分。手前に一軍の着物を収めてある衣装ケース、その奥に本の段ボールを積んであったけれど、まぁ大した量じゃなかろう……と思ったら、



わろた。
なんだこれは。本屋のバックヤードか? 返品待ちの箱??
日販(にっぱん)というのは出版社と本屋のあいだに挟まる問屋のひとつ。
過去に勤めた四軒の本屋は四軒とも日販を使っていたので(トーハンと半々だったりとかもした)、これは引っ越し当時に職場からかっぱらってきて本を運ぶのに使った箱がそのままになっている、というもの。
日販から本が入荷してくるときにはこういう箱に入ってくるのだが、これは文庫用の箱なのでサイズ自体は大きくない。でも隙間なく詰めれば結構な冊数が入るし、ものすごく重くなる。
これらの箱にまだみっちりと本が詰まっているのだと思ったら、さすがに気が遠くなった。これを改めて見たとき、十二月中には四畳半を片付けるので精いっぱいだな、と悟った。

愛読書のアガサ・クリスティー文庫がみっちり詰まった箱もあるし、これらの箱を十数年で一度も開けていないというわけではないが、かなり長いことこの状態のままということになる。
そのわりに、びっくりするくらいどの本もきれいで、傷みも全然ない。どうしたらいいか、どこにどう収納したらいいのか、もう全然わからないけど、ひとまずよかった。モノが本だと思うと気合を入れるのは難しくなく、中身は全部検分して仕分けした。
クリスティー文庫は大人になってから、本屋に勤め始めてからの趣味だが、他の箱にはそれよりずっと昔にのめり込むように読んだ本がたくさん入っていた。比較的最近読んだ本よりも、子どもの頃や学生時代に読んだ本のほうが思い入れや思い出が深い。私の血肉になった本ばかり。
押し入れの奥から出してきたところで、冊数も冊数だし頻繁に読み返すことはないだろうが、とても処分できないなと思ってしまった。

片付けの方法としてよく言われる『断捨離』と『こんまりメソッド』、これらはたぶん考え方が真逆の方法なんだろうけど、半月やってみて私はどちらか一方に振り切ることはできそうにないなとひしひし感じている。
絶対に手放せない本がある。
服とか着物とかはまだ思いきれる。自分の作品さえごっそり捨てることができた。でも本はダメだ。ときめくどころの話ではない。

16日の記録とそれ以前にもちらっとうちの父の話が出てきたが、私の性分はこの父の影響下で育って定着したものだと思う。
リサイクルに持って行った小型家電の中に、数台もの古いワープロやノート型のパソコンがあった。ノートPCと言われて思い浮かべるようなものよりずっと小さい、A5サイズくらいのもの。どっちかというとポメラ感がある。
これらは父が中古品で買って、ある程度使ってから私に下げ渡してきたものだ。買って所有してちょっといじったらたぶん満足するのだろう、その後私のところに寄越してくる。
私は自分のパソコンを持っているので、それより低スペックの小型マシンをもらっても持て余すばかりだし、父もそれくらい想像ができると思うのだが……
たぶん父は、自分が満足したあとでそれらの処遇をどうするかで困る人なのだ。好きで買い集めたけれど、手に入れることですでに満足してしまう。それほど使わないけど捨てるのは忍びなく、じゃあ趣味が似ていて文字打ちが趣味である娘にやってしまおう、という思考回路なんじゃないか。
父の自室は私の汚部屋ほどじゃないが、ものすごく雑多で散らかっている。一応父なりに整理されているらしいことはわかるのだが、見える床面積は狭い。物を増やすのが好きで、片付けられなくて、捨てられない人。
そして物への愛着を優先する人。私がリサイクルに出したはずの小型のノートPCは、結局父の手元に戻ることになった。動作確認何年もしてなかったが、まだ動くんだろうかあれ……

ポメラと、東芝ルポだったら今でも結構ほしいんだけどな……カラーじゃないやつ……
昔ルポで打ってフロッピーディスクに保存した小説を取り出したい。

------------------------------------

四畳半にふん詰まっている大量のものは、一応今日で全部目を通したことにはなる。その中で、細かい細かい趣味のものがいっぱい出てきた。趣味がたくさんあってそれに関わるものがそれぞれにたくさんあるから結果的に所持品が多くなる。趣味別にちょっと羅列してみたい。

①着物・和服
細長い衣装ケースふたつ、タッパーウェア製の衣装ケースふたつ、引き出し三段の衣装ケースひとつにみっちり詰まるくらいの長着と浴衣があり、半襟とか帯揚げとか帯締めとかは紙袋とかもっと小型の収納ケースに入れてある。三段の衣装ケースは今回処分してしまいたいから、残りの衣装ケース四つに収まる程度に量を減らさなければ……

②本
ラスボス。整理して仕分けしても四畳半の半分は本で埋まってる。
もうあきらめた。同棲続行。一緒に暮らしていく。

③トレーニンググッズ・ダンスグッズ
筋トレ用のいろいろとか、ダンス用品。
今も続けている趣味なので保留してある。バランスボールは一回空気を抜いてたたんだ。

④マンガ原稿・落描き類
本来は本と並ぶくらい比重を置いていたものだけれど、ちょっともうクオリティ的にもいたたまれなくて見返すことができなかったので、今回ごっそり処分した。
ただ、当時しか描けなかった話があるし、それはそれなりに面白かったと思う。そのタイミングで世に出せなかったものたちだから、ある意味それまでだと思うしかない。
捨てるのに意外なほど躊躇せずに済んで、それも少し寂しくはあった。カラーイラストは捨てない。
高校時代にちょっとした評価をいただいた小説の作品集だけ残すことにした。

⑤ぬいぐるみたち
ひとまとめにしたはいいがまだ行き先を決めることができていない子たち。
別の意味でこの子たちがラスボスだと思う。
ミッフィーちゃんとソシャゲのキャラクター、それ以前に持っていたぬいぐるみたち。
ミッフィーちゃんに関してはクレーンゲームでお迎えしたものが多くて、販売されているぬいぐるみとはちょっとお顔の感じが違ったりするので、寄付したりしようかな……と思っている。
絶対手放せないぬいちゃんもいる……

⑥手芸関連
布、毛糸、編針、羊毛が段ボールひとつ分出てきた。
羊毛は人に譲ることになったから、あとは一種類数メートルずつあるような布の山をどうにかする。

⑦CD
想像していたより量がなかった。処分していいCDはすでに一回出し切っているらしい。出してひとまとめにして、入っていた段ボール箱はたたんだ。

------------------------------------

念のため、今整理しているのは家の一番奥にある四畳半の部屋と押し入れ上下段。このほかに六畳の居間的な部屋があり、ミシンとか画材とかはこっちの部屋にある。

六畳間にあるのはパソコン二台(デスクトップとノート一台ずつ)、デスク、画材が入っている引き出し、窓辺に植木鉢。あと申し訳程度にメイク道具とか。
四畳半と比べると六畳間は生活の中心の部屋なので、アイロンとかドライヤーみたいな小型家電、説明書類、爪切りとか耳かきとか乾電池とかティッシュのストックとか工具とか薬箱とかもある。ブルーレイレコーダーだけならまだしも、現役で動くビデオデッキがある。テレビないのに。
ウクレレ、文房具、フィギュアとか食玩……あと当たり前みたいに本も積んである。
収納増やすなとは言うけど、もう本は捨てられないとわかったんだから、これの置き場は作らないとダメな気がする。

消しゴムかけをしただけでガクガク揺れる軟弱なデスクは、決まっていた譲り先が急遽引っ越す予定だとかで物を増やしたくないからと断られてしまい、実家の父のところに行くことになった。父よ……何でも欲しがる……
このデスクもばらさねばならない。そしてデカくて重い天板とか抱えて階段を下りていかねばならない……
パソコンデスクもいい加減処分してしまおうか。

整理した物の行き先を考えるとき、捨てないで持っておくものをどうするかという段になったら、模様替えとかレイアウトも考えることになる。
家具をほとんど買い足さないまま暮らしてきたので、デスクとパソコンデスクを処分したら背の高い家具がメタルラックと本棚と冷蔵庫しかなくなってしまう。
作業机はあってほしいけど、押し入れの上段を使うとかじゃやりづらいかなぁ……昔は押し入れの上段を机にしていたし、ドラえもんみたいに布団敷いて寝てもいた。

考えあぐね、一周回って「まず物を減らそう……」というところに戻る。
今日は片付け以外に洗濯と台所で洗い物と料理も結構頑張ったし、ソシャゲのキャラの誕生日祝いも走った。結構忙しく働いた日だった。

12月17日の記録 おわり
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み