2-8 初めて女子の家へ

文字数 741文字

 少し曇り空の日曜日。待ち合わせ時間通りに家から出てきた蕾生(らいお)に、(はるか)は落ち込んで息を吐いた。
 えええー……
 お前なあ、ここんとこ毎朝同じ顔してるぞ


 そんな顔で迎えられる俺の身にもなってみろ

 大丈夫?

 寝た?

 寝たよ、大丈夫だよ
 ほんとかなあ
 ていうか、昨日は土曜だから、いつもより寝てるからな


 それに今日だって早朝ってほどじゃないだろ

 えええっ、そんな自己管理ができる子じゃなかったのに!
 もういい、行くぞ
 プイとそっぽを向いて先に歩き出す蕾生(らいお)に、(はるか)は慌ててついて行った。


 研究所は学校と公園を越えた先にあるので、歩く景色はいつもとほぼ変わらない。

 ただの休日なので若干歩いている人が少なかった。

 あー、めんどくさいなー
 え?
 リンのことを探らなくちゃいけないのに、親戚のクソガキの話し相手させられるんでしょー
 そのクソガキがいたから家に行けるんだろが
 そうなんだけどさぁ……
 まあ、ただ部屋で話すだけじゃ、リンのことなんか探れねえけど、どうするんだ?
 うん……、例えばその親戚のお子様に取り入って、話を盛り上げて、研究施設見たーいって言ったら見せてくれるかなあ?
 どうだろうな


 銀騎(しらき)の雰囲気なら頼めば少しは見せてくれるか?

 だからさ、僕はそのクソガキじゃなくてお子様頑張って洗脳するから、ライくんは銀騎(しらき)さんを頼むよ
 ええ!?

 どうやって?

 基本的にはいつも通りのライくんでいいよ


 なんか彼女、ライくんのこと気に入ってるみたいだし

 そんなことねえだろ
 んもう、朴念仁はこれだからしょうがない!


 口下手なりに一生懸命会話してみ?


 多分それで結構いいセンいくと思うな

 会話、会話か……
 頼むよー、自然でいいからね!
 お、おう……
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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