2-13 解釈違い

文字数 1,093文字

 あの、もう少し詳しく教えてくれない?


 すずちゃん、とっても辛そうだったの


 このままじゃいけないと思う

 うん、できれば銀騎(しらき)さんにも協力して欲しいんだけど、僕らの事情を話す前に言っておかないといけないことがある
 ?
 僕らはいずれ銀騎(しらき)詮充郞(せんじゅうろう)の敵になる
 ──!
 リン──鈴心(すずね)が僕ら側につけばもちろん彼女も君の家族の敵だ
 お祖父様も、関係があるの?
 あるなんてもんじゃない


 元々、銀騎(しらき)の家とは因縁があるんだ


 詮充郎(せんじゅうろう)は中でも一番タチが悪い


 前回も酷い目に合わされてね

 ……
 そんな因縁の相手の家にリンが転生してるなんて出来すぎてると思わない?
 お祖父様が、何かをしたってこと?
 まあね。あのジジィの性格からしたら、僕はそれを確信してる


 多分、君よりも僕は銀騎(しらき)詮充郎(せんじゅうろう)という男を理解している

 ……
 どうする?お祖父様の敵に手を貸す覚悟が君にあるならその先のことを話す
 (はるか)

 そんな言い方──

 鈴心(すずね)を救いたかったら、僕らに協力するしかないよ?
 ……
 ……
 ──周防(すおう)くんは、お祖父様かすずちゃんか選べってわたしに言ってるのね
 そう。君が鈴心(すずね)を大切に思ってるのは伝わってるからね
 それは周防(すおう)くんもでしょ?


 すずちゃんがどうしても必要だからわたしを脅すみたいな言い方をしてる

 うん?
 わたしが協力しないと、すずちゃんともう一度会うなんてできないよ?ましてや説得なんて
 えーっと……
(にっこり)

 お願いするべきなのは周防(すおう)くんの方だよね?

 ……
(にこにこ)
 ──やっぱり、君は苦手だなあ
(にこにこ)
(ニコニコ)
(こわ……)
 僕が頭を下げたら君は協力してくれるのかな?
 頭を下げる必要はないけど、わたしって頼まれたら断れない人みたいだから
 ──なるほど


 僕は君の人となりを間違えて解釈してたみたいだ

(タヌキとキツネの化かし合い……!)
 参ったな、もっと直感を信じれば良かった
 そうかもね
 わかった。まずは君に事情を話す


 その後君が選ぶといい。協力するか、──詮充郎(せんじゅうろう)につきだすか

 いいのか?(はるか)
 まあ、大博打ではある


 けど、これくらいの賭けには勝てないとね

 お話長くなるよね?


 お茶、入れ直すね

 そうして、今度はカモミールティーが入れられる。蕾生(らいお)は初めてだったが一口飲むと気分が落ち着くようだった。

 

 (はるか)が少し勿体ぶりながら口を開く。九百年前の自分──(はなぶさ)治親(はるちか)の伝記が滔々と語られた。

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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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