2-14 星弥の「協力」

文字数 765文字

 ──ふえぇ
 まるで講談でも聞いた後のような気の抜けた息を星弥(せいや)は漏らした。


 大仰な言い回しではあったけれど、(はるか)がした話は蕾生(らいお)に語ったものと大差なかった。

 信じて欲しいところではあるけど、信じられないだろうねえ
 大丈夫か?
 あ、うん


 ちょっと、なんか壮大っていうか、ものすごくファンタジーっていうか、すごく大変そうっていうのはわかったかも……

 俺も聞いた時は似たようなもんだった
 これ以上のことは君の返事次第かな


 まだライくんに話してないこともたくさんあるし

 わたしは──すずちゃんは貴方達とちゃんと話をするべきだと思う


 その為の協力はします

 マジで?
 それから、貴方達がお祖父様の敵にならない道を考える
 はぁ?──悪いけどそんな道は
 当事者の貴方達には見つからないかもしれない


 だからわたしが探してみる

 説得力のある、「模範的」な答えだった。

 それを星弥(せいや)は天然ではなく、意識的にそうあろうとしている節がある。

 それを(はるか)は読み違えたのだ。

 本当に、苦手だなあ、君
 永、あきらめろ


 こいつ、見た目に反して結構ぶっ飛んでる

 さすが、孫……
 えへへ、褒められた
 褒めてない
 ウソ!
 わかった、それでいい


 僕らだって銀騎(しらき)と争わずにすむならそっちの方がいい

(そんなことは不可能だけどね)
 よし、じゃあ、まずはもう一度すずちゃんに会ってもらえるようにしないとね
 手はあるのか?
 具体的にはないけど、二人は毎週末うちに遊びにくればいいよ
 え、いいの?
 もちろん


 わたしがお友達を呼ぶのは勝手でしょ?

 すずちゃんだってそれは止められない


 後は時間をかけてゆっくり……ね?

(悪巧みしてるみてえだな)
 あんまりかける時間はないかもしれないけど……、今はその作戦にのるしかない、か
 決まりだね
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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