2-9 オコサマ
文字数 1,053文字
なんだかんだと話していると前回来た研究所の物々しい鉄の通用門が見えてきた。
少し横にそれてみると鬱蒼と繁った藪の中にレンガ敷きの細い通路があった。
少し歩いた先に西洋風の大きな門構えが現れる。その中にはこじんまりとした石造りの洋館が建っていた。
短く返事をした後、
入れ替わりに黒いワンピースにエプロンをつけた中年の女性が二人を応接室に案内してくれた。
小声であっても聞こえていないはずはないが、家政婦風の女性は何も言わずに二人を案内した後、お茶のポットやお菓子が乗せられたカートをその場に置くと、一礼して部屋から出ていった。
その言葉にはたっぷりの侮蔑がこめられていた。
その様子を見て、蕾生も気を引き締めた。
ふと戸棚の中に小さな写真立てがあるのが見える。
コンコンと応接室の扉を叩く音がして、星弥 が遠慮がちに扉を開けて部屋に入ってきた。
そしてその後ろにもう一人分の人影が続く。小柄な少女だった。長い黒髪を左右にレースのリボンで結い、控えめにレースがあしらわれた白いブラウスにピンク色のフレアースカートを纏っている。
俯きながら