第16話「アホの子」
文字数 1,869文字
15:30
<引っかかりやすいのはデフォルトです。>
と言うわけで、オレは今、掃除箱の中に居る。
ユキジが、掃除箱にホーキやら回転ホーキやらを仕舞い込み、じっと眺めて言うわけ。
「この狭さ…わたしは無理だけどマコならいけるんじゃ?」
「どれどれ…うん、行けるね!オレならいけるね!」
「そうだね、その、うす…いや、スレンダーなボデーなら。」
オレはユキジの首を絞めた。
ギブアップを勝ち取ったのち、オレは中に入って見せた。
「ふふん、どうだ!」
「おー、さすが、おやゆび姫。」
「コロス。」
ぱたん。
「あ?」
閉められた。
「出せコラア~!」
「うーん、なんて苛めがいのある子!わたくし何かに目覚めそうですわ!」
「うるせこの!出せえ!ホコリ臭いんだよお!」
「あ、ちょっと誰か来た!マコ、黙ってて!驚かせよ!?」
あぁ、なぜこのような、小学生時代に戻ったような遊びに巻き込まれるのだオレは。
「ねぇ、ゴクツマ居る?」
「居ないよ~帰ったと思うよ~」
声からすっと、学級代表の美月だなー?
「そっかー、原稿用紙渡そうと思ったのに。明日にすっか。」
「美月ちょっとこっちへ。」
ユキジが美月をこちらに呼ぶ。
ふふふ、掃除箱の前に来たところで ば~ん!! だな?
声が近くなったところで。 そろそろか!? 行くか!?
「ゴクツマと言えばさぁ~」
んん?
「バスケ部の蒼真さぁ、ゴクツマ好きらしいよ~」
何だと? バスケ部の蒼真… モテ期全開中のカッコいいやつ?
「学祭の、例の時に告るってウワサださ~どうするんだろ?」
「さぁ~どうなんでしょ~?」
どうするって言われても!?
「でもアイツ、ゴロク先生ガチじゃん?アイツこそ、先生にいつ告るんだろね~?」
告るわけねえだろ!なんでオレが五呂久ガチなんだよ!?
オレが五呂久を好きなわけないじゃん!!
「てまぁ、そんなことは置いといて、コレ、ゴクツマに渡しといて~ユキジ。」
「何?コレ?」
「あぁ、部長が書く、学祭パンフに載せるメッセージ。お客に配るヤツ。」
「お願いね~このあと部で会うでしょ? あ、ところで、こっち来てって何?」
「いや、何でもない何でもない。ごめんねえ」
オレは完全に出るタイミングを逸し、臭い箱の中で気配を殺していた…ら。
ユキジが急に扉を開けたのでオレは足元にクロスするホウキやちり取に足を取られ、掃除用具と共に前方回転する羽目になった。
<引っかかりやすいのはデフォルトです。>
「おお…さすがマコ!期待を裏切らない怖ろしい子!」
「うるせええ! そしてイテエええ!」
「…で、蒼真のホントだったらどうすんの?」
「知るかそんなん!」
「真面目に告ってきたら、付き合う?」
「全く…噂でしょそんなの…? ゴメンネするよ。」
ユキジは、さらにずいっとオレの前に来て、聞いてきた。
「じゃぁさ、もしも、五呂久せんせいから、卒業したらとか、真面目に告られたら?」
「…オレが学校の先生なんかと付き合うわけないじゃん。」
ユキジはじーっとオレを見ている。
「先生なんて…普段ご立派なこと言いながらママを裏切った<先生>をさ。」
「知ってるけどさ…五呂久せんせいとマコのパパは別人じゃん?」
そうだけど…。
「マコは<先生>だから付き合わないって今言ったよね~。じゃぁ先生じゃないゴロクだったら付き合うの?」
「なんでゴロク出てくるのさー! 知らん! もう、部活先行く!」
オレは逃げ出した。
よく考えれば、何で逃げ出す必要があったのか謎だけど。
で、美術室へ入る直前に、音楽室から出て来たアイツにバッタリ逢ってしまった。
うーん、なんか今は会いたくなかった。
横をツーンと通り過ぎようとしたら。
「マコ、ちょい待て。」
「何だよう…」
「うーん、確か鞄に…ほい、ウェットティッシュ。」
「ゴミの上でも転んだのか? 普段清潔なオマエが珍しい。それやる。そのカッコで部室入ったらモテるぞ?」
「あ、ありがと…でも…」
「でも?」
「何で、いつも五呂久はオレの恥かしいとこばっか見るんだよお!?」
何だよもう! もっといい所見てよ! もっと…可愛いとこ!!
「それはな…!」
キタ!のかここで!?
「おま…」「いつもお前を見つめているからさ!」
オレと五呂久は振り返った。
五呂久のセリフを勝手に付け加えたユキジが居た。
此方を向いたまま、2、3歩後ろへ下がって行った。
「すみませんでした~」
更にずいずい下がっていく。
「調子に乗りました」
「すみませーん」
「語録どうぞ~」
そしてユキジは逃げて行った。
「うーん、ショックだ…。」
「何が?」
「お前と違って、ユキジはアホの子ではないと思っていた…。」
……志ネ。
<引っかかりやすいのはデフォルトです。>
と言うわけで、オレは今、掃除箱の中に居る。
ユキジが、掃除箱にホーキやら回転ホーキやらを仕舞い込み、じっと眺めて言うわけ。
「この狭さ…わたしは無理だけどマコならいけるんじゃ?」
「どれどれ…うん、行けるね!オレならいけるね!」
「そうだね、その、うす…いや、スレンダーなボデーなら。」
オレはユキジの首を絞めた。
ギブアップを勝ち取ったのち、オレは中に入って見せた。
「ふふん、どうだ!」
「おー、さすが、おやゆび姫。」
「コロス。」
ぱたん。
「あ?」
閉められた。
「出せコラア~!」
「うーん、なんて苛めがいのある子!わたくし何かに目覚めそうですわ!」
「うるせこの!出せえ!ホコリ臭いんだよお!」
「あ、ちょっと誰か来た!マコ、黙ってて!驚かせよ!?」
あぁ、なぜこのような、小学生時代に戻ったような遊びに巻き込まれるのだオレは。
「ねぇ、ゴクツマ居る?」
「居ないよ~帰ったと思うよ~」
声からすっと、学級代表の美月だなー?
「そっかー、原稿用紙渡そうと思ったのに。明日にすっか。」
「美月ちょっとこっちへ。」
ユキジが美月をこちらに呼ぶ。
ふふふ、掃除箱の前に来たところで ば~ん!! だな?
声が近くなったところで。 そろそろか!? 行くか!?
「ゴクツマと言えばさぁ~」
んん?
「バスケ部の蒼真さぁ、ゴクツマ好きらしいよ~」
何だと? バスケ部の蒼真… モテ期全開中のカッコいいやつ?
「学祭の、例の時に告るってウワサださ~どうするんだろ?」
「さぁ~どうなんでしょ~?」
どうするって言われても!?
「でもアイツ、ゴロク先生ガチじゃん?アイツこそ、先生にいつ告るんだろね~?」
告るわけねえだろ!なんでオレが五呂久ガチなんだよ!?
オレが五呂久を好きなわけないじゃん!!
「てまぁ、そんなことは置いといて、コレ、ゴクツマに渡しといて~ユキジ。」
「何?コレ?」
「あぁ、部長が書く、学祭パンフに載せるメッセージ。お客に配るヤツ。」
「お願いね~このあと部で会うでしょ? あ、ところで、こっち来てって何?」
「いや、何でもない何でもない。ごめんねえ」
オレは完全に出るタイミングを逸し、臭い箱の中で気配を殺していた…ら。
ユキジが急に扉を開けたのでオレは足元にクロスするホウキやちり取に足を取られ、掃除用具と共に前方回転する羽目になった。
<引っかかりやすいのはデフォルトです。>
「おお…さすがマコ!期待を裏切らない怖ろしい子!」
「うるせええ! そしてイテエええ!」
「…で、蒼真のホントだったらどうすんの?」
「知るかそんなん!」
「真面目に告ってきたら、付き合う?」
「全く…噂でしょそんなの…? ゴメンネするよ。」
ユキジは、さらにずいっとオレの前に来て、聞いてきた。
「じゃぁさ、もしも、五呂久せんせいから、卒業したらとか、真面目に告られたら?」
「…オレが学校の先生なんかと付き合うわけないじゃん。」
ユキジはじーっとオレを見ている。
「先生なんて…普段ご立派なこと言いながらママを裏切った<先生>をさ。」
「知ってるけどさ…五呂久せんせいとマコのパパは別人じゃん?」
そうだけど…。
「マコは<先生>だから付き合わないって今言ったよね~。じゃぁ先生じゃないゴロクだったら付き合うの?」
「なんでゴロク出てくるのさー! 知らん! もう、部活先行く!」
オレは逃げ出した。
よく考えれば、何で逃げ出す必要があったのか謎だけど。
で、美術室へ入る直前に、音楽室から出て来たアイツにバッタリ逢ってしまった。
うーん、なんか今は会いたくなかった。
横をツーンと通り過ぎようとしたら。
「マコ、ちょい待て。」
「何だよう…」
「うーん、確か鞄に…ほい、ウェットティッシュ。」
「ゴミの上でも転んだのか? 普段清潔なオマエが珍しい。それやる。そのカッコで部室入ったらモテるぞ?」
「あ、ありがと…でも…」
「でも?」
「何で、いつも五呂久はオレの恥かしいとこばっか見るんだよお!?」
何だよもう! もっといい所見てよ! もっと…可愛いとこ!!
「それはな…!」
キタ!のかここで!?
「おま…」「いつもお前を見つめているからさ!」
オレと五呂久は振り返った。
五呂久のセリフを勝手に付け加えたユキジが居た。
此方を向いたまま、2、3歩後ろへ下がって行った。
「すみませんでした~」
更にずいずい下がっていく。
「調子に乗りました」
「すみませーん」
「語録どうぞ~」
そしてユキジは逃げて行った。
「うーん、ショックだ…。」
「何が?」
「お前と違って、ユキジはアホの子ではないと思っていた…。」
……志ネ。