第38話

文字数 504文字

課長は翌日、本当に離婚して、すぐさま明美を妻に迎えた。
建てたばかりの家のローンと、養育費を背負ったけど、ふたりの愛にまさるものはない、と。
そういえば課長、前の奥さんともスピード婚だったって言ってたっけ。
だから失敗するんじゃないかな?
人は変わるものだし、特に女は感情のいきものだ。

ともあれ、課長はたしかに異能力を持ち、肉弾戦なら無敵だろうけど、距離を取られてはどうにもならない。
弱い、と感じたが、絶が使えず射程が短いEカップドリルも同系統。
どちらかと言えば、守りに徹して効果を発揮する能力だ。
似たもの同士。
課長に任せて、良かった。
最初から、お互い傷つけ合う意思はなかったんだろう。
課長は女の腰骨を砕く事なんて出来なかっただろうし、明美さんは、ずっと好きだった男の胸をえぐるなんて出来なかった。
その証拠に、明美さんは無傷、課長の胸の傷は、ちょうどケンシロウと同じ形に7つだけ。
より、キャラが立つ。
結局、戦ってどちらが勝ってもお互い傷つき、一方が死んだりする。
いちばんの強さ、それは和解する力だ。
そんな大事な事を、ふたりに教えてもらった気がする。
良い上司を持った。

そして、吉村 淳史、稀代の傾奇者であり、真の漢だ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み