第30話

文字数 318文字

弥生の示した先には、色黒で背の高い、袴田にも劣らぬイケメン。
太陽を抱っこしてる。
あれえ、旦那さま?
瑠璃子が騒ぐ。
ちょーイケメン!
面白くない。
彼は「弥生さーん!」
姿形に似合わない甲高い声で小走りになった。
瑠璃子がズコッってなった。
面白い。
「弥生さんのポチでーす!よろしくお願いしまーす」
あらら。
「たいちくんですよね、いつもお世話になってます」
真っ先に挨拶して来た。
まあ、他部署だから上司は優先しなくても良いか。
そんな彼のキャラ設定を知らない女子社員たちは、一層こっちに注目する。
袴田とポチ。
白・黒の高級大型犬に挟まれて、薄汚く茶色い雑種。
弥生ちゃんのせいだ、絶教えてよ。
弥生は察して笑った。

「でもここでいちばん幸せなのは、たいちくんだよ」
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