第52話

文字数 668文字

会社に着くと、るりちゃんと明美さんが出迎えた。
僅か2泊3日が、長く感じた。
家に帰り、早速産まれてくる子供の名前について話した。
じゃ、せーのでいくよ。
せーのー「うみ」
ふたり、同じだった。
僕は嬉しくて、るりちゃんを抱きしめた。
ふとテーブルを見ると、一通の招待状。
その中身は信じられないものだった。
あの国民的アイドルグループ、チークービー48と、ジョニーズ事務所を背負って立つ勢いのキンタ&プリケツの合同ディナーショー。
日付は明日、場所は日本武道館。
なんで?すごい!
そんな僕と逆に、白々しいるりちゃん。
そういやこのへんのネタにはみんなこんな感じだ。
何かある。
そう思っていると、るりちゃんが口を開いた。
たいちくん、行かないで。
チークービーも、キンプリも、タイタイのフロントなんだよ。
特に女の子の大人数のアイドルグループが売り出された背景、今のたいちくんならなんとなくわかるよね。
わたしたちみんな、チークービーシリーズとしてスカウトされたんだ。
で、たいちくん好みの子だけ、タイタイに選抜された。
だから、たいちくん、チークービーに好きな子居ないでしょ?
ジョニーズも昔は3人とか4人とかだったのに、性shounagonあたりから人数増やしたでしょ?
あれもたぶんそうだよ。
これ、罠だよ。
たいちくん、きっと殺されちゃう。
そしたらわたしと海、どうやって生きて行ったら良いの?
父無し子なんて、今時流行らないよ。
行かないで、お願い。

ごめん。
それでも、いや、だからこそ行かなきゃ。
生きて帰って来る。
海を抱かなきゃ。
信じて待ってて。

るりちゃんは、ただただ泣いてた。
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