第50話

文字数 338文字

当たり前だけど、春にかぶとむしは居なかった。
太陽はがっかりしてたけど、仕方ない。
みんなで宿の周りを散策する間、それぞれある意味での父親3人は無言だった。
僕はトテ子の事を聞きたくなったけど、聞かなかった。
弥生ちゃんにとっては、性欲を満たせる相手はポチ一人だけど、3人の男達に囲まれた彼女は満足そうだった。
それで良い。
みんなが幸せならば。
そう思った時、ふと、この双葉紫明という冴えないじじいの歪んだ性欲はいったいどこへ向かうんだろう?と考えた。
ぶるっ
やっぱり高原の夜は冷えるね!
宿に戻るまでに、太陽はポチの抱っこで眠っていた。

その寝顔に、これから産まれてくるるりちゃんとの子供を想像していた。
そうだ、名前どうしよう?
たぶん女の子だって言ってたな。
帰ったら、るりちゃんと相談しよう。

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