第19話:想い出の話と父が脳梗塞!

文字数 2,096文字

 その脇で、いろいろ面倒見てくれたよね。本当に助かったわと言った。葬式も終えた時、喪が明けたら結婚しようと子持ちの私に言ってくれたわよね。本当にうれしかった。まさに地獄に仏といった感じがしたわ。店に大学生のアルバイトを探してくれたりインターネットカフェを考えてくれたりして店をつぶさなくて済んだわ。その後、あなたの家が地元の名家と言うことがわかり、お金に不自由しないで済んで結婚したら、すぐに子供が出来た。

 でも1人も身体の不自由な子供が出来なくて神様に感謝しなくちゃと言った。その後、あなたは実の子も他人の子も分け隔て無く面倒見てくれたわね。それによって私はどれだけ救われたか、わかりゃしないと涙ぐんだ。それを見て俺は子供が好きなだけさと言い、子供の未来って、無限大じゃないか、その可能性を大事にしてやらなきゃねと言った。そう言う優しいところが本当に好きと頬にキスした。

 満月の夜って本当にロマンチックだなと言うと、そうね、なんか宝塚の舞台にでも上がったような良い気分ですねと小さな声でささやいた。「海の上でなければ、その気になっちゃいそー」と笑った。こんな素敵な時間がもてて本当に幸せ者だと塚田守も、つぶやいた。それからも夫婦の会話は続いて2011年の東日本大震災の時、あなたは腰を抜かした様に驚いて、どうしようと、私に抱き付いたね。意外に弱いところもあるのがわかって、おかしかったわと話した。

 あなたが、もう日本と脱出しようと言った時には気は確かと言ったわよね。すると真面目な顔をして、俺、地震が大っ嫌いで心臓が止まりそうになるんだと真面目な顔をすると冗談だとばかり思っていたの。でも本当だったのね。地震の1週間後、日本を出ると言って地震から4ヶ月後の2011年7月18日にポルトガルに飛んできた。移住の手続きをとって家を買って全部実行してしまった。私は、ただ、あっけにとられて後をついていくのがやっとだったわ。

 それから、こんな事になると思ってもみなかった、ずーっと冒険旅行をしていた様な感じだった。でも何の問題も起きなかったのは奇跡的だったねと笑った。そんな話を延々をしていると喉が渇いたろうと言ってコーラを持って来てくれと伝えた。そのコーラを飲んでいると空が白々、あけてきた。そして塚田守が、お湯を沸かしてポットに入れて暖かいスープかヌードルが欲しいと言った。

 わかった、お湯を沸かしてくるとキッチンの方へ行き15分位して大きなポットをかかえてきてコンソメ、ポタージュ、コーン、どのスープが欲しいと聞くので、ポタージュと答えた。彼女はコーンにして湯を入れてかき混ぜて持って来た。パンも食べると聞くのでジャムのパンが良いと言うと渡してくれた。彼女が来年も、こんなロマンチックな夜のクルーズしたいなーと言うと、俺も夜の星がきれいなので、また来たいと伝えた。

 また計画するよと言った。そして、ゆっくりと朝食を食べていると長女の和美ちゃんが美味しそーなスープねと言い、私もポタージュが欲しいなと言うので用意した。そしてパンにバターを塗って食べ始めた。においをかぎつけて次々と子供達が起きてきて、いろんなスープをつくった。最後に4歳の美恵子が起きてきて、私も食べたいというので、暑いから、お母さんと一緒に食べようというと食べ始めた。

 美恵子が暖かくて美味しーというと大笑いとなった。そして朝となり遠くにポルトの港が見えると子供達が、もうすぐ着くんだーと叫んだ。しばらくしてポルトの港に到着。ヨットハーバーの近くの店に入って子供達が、お菓子が欲しいと言うので、買い、ついでに、美味しそうな食料品を買った。お父さんは喫茶店に入り珈琲を飲み眠気を覚まそうとしていた。2時間程してヨットにもどり、お父さんは、仮眠をとって、午後4時頃まで寝た。

 その後、船を移動してガソリンを満タンにしてもらい午後17時に出発しようと言い、母が、夕飯の支度を始めた。そしてリスボンに向かってポルトの港を出発した。少しして夕食を食べ始めて港で買ったサンドイッチを美味しそうに食べ始めた。お父さんにも紅茶とサンドイッチののったトレイを渡した。その後、子供達は、めいめい自分達の好きなことをして遊んでいた。肇君は双眼鏡を持って来ていて、岸の方を眺めていた。

 すると「私にも見せてと美恵子きて、わーすごい、近くに見える」と、大はしゃぎした。そして、すっかり暗くなると子供達は疲れていたのか早めにベッドに入って寝始めた。おかあさんも、うとうと、していた。そして、あたりが、しーんと静まりかえって、波の音だけの世界になった。すると頭の中からがキーンと言う音が聞こえ、以前経験した放射線治療の時に感じた予知能力の様なものが蘇った。

 しかし、今、海の上で何も出来ない。どうしようかと思った時、突然、奥さんが何かあったのと叫んだ。その時、ぼーっとしていた様で船の舵に倒れかかった。奥さんが舵をまっすぐ保ち、「どうしたのと塚田守の顔を叩くと、我に返って父が死んじゃう」と言った。「脳梗塞で死んじゃう、早く、救急車を呼んでくれ」と言った。
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