第17話:和美が結婚

文字数 2,445文字

 クルーザーヨットを運転しながらエンジンの調子も良さそうだと確認するように言った。30分位して運転を代わり内部をニコラスが、回ると、あの爺さん、調理器具や、珈琲セット、冷蔵庫など備品類を全部、置いていってくれたと驚いていた。丁寧に使っていたんだなーと言い、彼も、もっと長く、乗り続けたかったろうに、とニコラスがしんみり言った。そうして、5時間くらいして、ナザレの浜辺が見えた。

 ナザレまで来て、あと3時間位だろうと言った。そしてニコラスが珈琲とパンを持ってきてくれ運転を交代して食べた。その後、夜21時、リスボンのヨットハーバーに到着しクルーザーヨットを係留しタクシーを呼んで帰った。その日は気持ちよい疲れで家に戻りシャワーを浴びてすぐ寝た。今週、土日のどちらか、みんなで、クルーザーヨットに乗ろうというと美鈴さんと子供達が楽しみーだと喜んだ。

 その後、土曜日、朝9時に大型バンに乗り込んでヨットハーバーに到着。みんな、足元に気をつけるんだよと言って先日購入した40フィート・カタマラン式のクルーザーヨットに乗り込んだ。わーすごい、大きい、コンロも冷蔵庫もあるよと子供達は大はしゃぎだった。そこで動き出すと揺れるからしっかりつかまってないと船から海に落ちるぞと言うと子供達がボートにしっかりつかまった。その後エンジンをかけヨットが動き出すと歓声が聞こえた。

 そして北に向かって走り、エストリル、エリセイラからペ二シェという海に突き出た岬を回ってヨットハーバーに戻ってきたのは午後13時。お腹が空いたと言うので車に乗り近くのレストランへ入った。そしてどうだったと聞くと子供達は興奮気味に良かった。また、乗りたいと言い、今度は、サンドイッチとか、食料を持ち込んで、ピクニックみたいにしていこうと話していた。ヨットは10人以上、乗れそうで、夏場は特に気持ち良いと思われた。

 2012年11月10日、和美が父に相談があると言った。今、働いているリスボンのカフェの息子さんと仲良くなって結婚したいと打ち明けた。その彼の御両親が年を取って仕事も辛くなったので、2013年に息子に店を譲ると言い出した。すると彼に一緒に店を経営して欲しいと言われたそうだ。つきあい始めたのは2012月1月からだと話した。息子さんが店に出るようになり彼が毎日仕事し始めたので一緒に仕事をする日が多くなったそうだ。

 結婚後は、そのカフェの2階に住むようで御両親は引退して郊外の家に引っ越す様だと話した。明日、彼を連れてくるように言うと、翌日、夜19時、和美さんが恋人のカルロスを連れてきた。彼は英語が話せるので英語で話し和美のどこが気に入ったのか聞くと賢い事。それに料理が上手で気が利き美人だと言った。結婚式は、どうするのか聞くと、まだ結婚式を開く時間も、お金もないと笑いながら答えた。

 結婚式するとしても自分の店で自分達で手作りの結婚するしかないというので、それで良いから、すぐに結婚式をしろと塚田守が言った。すると、わかりました、これで結婚のお許しをいただいたと言う事で良いですねと聞いた。それに対して父がOKと言った。それなら12月中に自分のレストランで結婚式をしますと言った。しかし結婚指輪は、まだ買えないから少し待って下さいと言うと、それは構わないと父が言った。

 最後に、父が君の今の信条は何かと聞くと真心ですと答えた。結婚してからの信条はと質問するとファミリーを大切にしますと答えたので塚田守が思わず、カルロスの肩を叩いて頼んだぞと力いっぱい握手した。この光景を見て和美さんが涙を浮かべ、カルロスの目にも涙が浮かび、正式に結婚を認めると塚田家の人の前で宣言した。その後12月20日、結婚式をすると招待状が届いた。

 結婚式当日、夜18時、彼のカフェ・レストランへ行くと精一杯の正装をして和美とカルロスが現れた。招待客25名で彼の兄弟3人と御両親、親戚の方7人と店の常連客10人と塚田家のファミリー5人がいた。彼らの兄弟がウエディングケーキを大きなテーブルの上に置き和美とカルロスが入刀して招待客に分けてくれた。そして宴が始まり兄弟達が多くの料理をテーブルに手際よく運んでポートワインで乾杯した。

 その後、常連客の2人の女性が、お祝いの歌を歌ってくれた。続いてファドの歌を聞かせてくれ楽しい結婚式が続いた。夜22時に結婚式が終了し塚田ファミリーは家に戻ってきた。1月1日、和美とカルロスが新年の挨拶にやってきて一緒に昼食をとり今晩から店を開けると話した。
塚田家の4人で新年早々、避寒旅行に出かけた。2013年1月3日、リスボン空港から、スペインのマラガへ飛んだ。

 リスボンも昼間が15度を超えて暖かいが、マラガは更に暖かい。昼間の日向は日射しがきつくて日焼けしそうになる。1月でも20度になりヨーロッパの富裕層が避寒に来るそうだ。市内のエンカルナシオン大聖堂は大きくて広くて内部は荘厳な巨大な空間が広がり、まさに厳か、そのものだった。天井の高さは40m以上あり装飾や天使の像などが素晴らしく彫刻や絵画が多く、世界屈指の大聖堂だった。

 マラガに一泊し、翌日、イギリス領のジブラルタル空港へ飛んだ。ジブラルタルはアフリカに最も近いヨーロッパ。名所は切り立った岩山、ターリクの山。711年にこの地に侵入したアラブの首長ターリク・イブン・ザイードが「ターリクの山」と名付け、それがなまってジブラルタルになったのだとか言われている。英語では「ザ・ロック」と呼ばれ、ジブラルタルの代名詞として親しまれている。

 ザ・ロックの山頂から天気の良い日にはジブラルタル海峡の向こうにアフリカ大陸を望む絶景を楽しむことができ様だ。標高426メートルへの山頂へはロープウェーが便利。展望台やその周辺には、もはやザ・ロックの主となった猿たちが、わがもの顔で歩き回っている。そうして、ジブラルタル空港を9時半に出て、11時半にリスボンに帰って来た。
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